モザンビーク・プロサバンナ事業に関する緊急院内集会に参加

7月9日(木)の夕刻、国会内で、NGOグループの皆さんが中心となって「モザンビーク・プロサバンナ事業に関する緊急院内集会が開催されました。私も、呼びかけ人の一人として名前を連ねて側面支援をさせていただき、短時間ではありましたが、直接顔を出してご挨拶もさせていただきました。

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今回の緊急集会は、プロサバンナ事業の進め方に異を唱えているモザンビーク農民諸団体の代表3名の方々が緊急来日された機会を捉えて開催されたもの。「なぜ、現地農民は異議を唱えるのか?」と題して、お三方からそれぞれプロサバンナ事業の問題点、特に、これまでの事業の進め方や日本政府・JICAの対応姿勢の問題点について、ご報告をいただきました。

私も、このブログでもご紹介してきましたが、2013年3月に参議院のODA調査団の一員としてモザンビークの視察に参加した際にこのプロサバンナ問題の存在を知って以来、NGOグループの皆さんから継続的に現地報告をいただきながら、外務省やJICAの担当者ともやり取りし、国会質問などでも度々取り上げながらフォローしてきました。

このプロサバンナ事業は、日本政府がブラジル政府と協力してモザンビーク政府を支援し、モザンビーク北部の広大に広がるプロサバンナ地域における大規模な農業・農村開発事業を実施するもの。世界の最貧国の一つで、多くの国民が貧困と飢えに苦しんでいる中、農業開発を進めて農業生産性を高め、国民を飢えから救うと同時に、数多くの小農の皆さんの安定的な生計手段の確保に資することを目的に行う事業なのです。

 

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しかし、そうであればこそ、事業計画の策定には農民やその代表である農民組織の代表者たちが参加・参画し、その事業が真にモザンビーク国民や農民の皆さんのためになるよう議論を積み上げていかなければなりません。途上国では、往々にして、この手の農業開発事業が農民からの土地収奪につながったり、単一の換金作物の生産・輸出が目的となって却って農民の貧困化を固定し、かつ国民の食生活の改善にも結びつかないという事態が起こりがちなのです。

モザンビークの皆さんは、「このプロジェクトには日本政府が関わっているから大丈夫だろう。モザンビーク政府だけじゃ絶対にダメだし、ブラジル政府も心配だが、日本がいるからきっといい事業になるに違いない」という期待をかけていただいているのですが・・・。残念ながら、これまでのところ、その期待に叶う進め方にはなっていません。

当事者である農民や農民組織の皆さんへの説明も、情報提供も、意志決定プロセスへの招待も、全くもって不十分なのです。正直、私たちが関与を初めてからの2年半、未だ、同じ問題が繰り返されています。なんで未だにこんな状態なのか、本当に残念でなりません。

今回の集会でも、お三方からモザンビークの現状と、プロジェクトの進捗状況について、貴重な報告をいただきました。いつのまにか、先祖代々、大切に守り育ててきた農地が資本家に奪われ、農民が追い出されていく実態。モザンビーク政府が主催するマスタープランゼロの公聴会に出て反対の発言をすると、そのあと政府に執拗に捜し出されて「投獄するぞ」と脅される・・・。また、農民に対して製粉機の受け取りが強要され、ローンを組んで返済することとセットで強要されて、その場にJICAの関係者も同席していると・・・。

この事業は、日本国民の貴重な税金を使って、モザンビークの国民、農民の皆さんの生活向上のために行う事業のはずです。それが、モザンビークの農民や国民のためになるのか懸念があるばかりか、小農の土地収奪にもつながりかねない状況であることが、報告で示されました。

すでに、モザンビーク・ブラジル・日本の3カ国の市民社会73団体が共同で、「プロサバンナ事業のマスタープランに関する公聴会の無効化を求める緊急共同声明」が出されています。その意味と、重さを、国会議員としてしっかりと受け止め、あらためて今後の対応を進めていきたいと思います。

超党派「ILO議連」の2015年度第2回総会を開催!

7月9日(木)朝8時より、私が事務局長を務めている「ILO活動推進議員連盟」の、2015年度第2回総会を開催し、12名の国会議員と多くの議員代理の皆さん、そして政労使代表組織の関係者の皆さんにご出席をいただきました。

 

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今日は、最初に議連の上半期の活動報告と下半期の活動計画案を満場一致でご承認いただき、続いて6月1日から13日までスイスのジュネーブで開催された「第104回ILO総会」について、出席された政労使代表メンバーよりご報告をいただきました。

まず、政府側理事の伊澤章・厚生労働省総括審議官より、①本会議での日本政府代表演説、②中小企業とディーセントで生産的な雇用創出に関する委員会(一般討議)の概要、③インフォーマル経済からフォーマル経済への移行促進に関する勧告の内容、④社会的保護に関する周期的議論の主な論点、⑤基準適用委員会の審議概要、そして⑥2016年〜17年の計画予算、について総括的なご報告をいただきました。

労働側からは、吉田・連合総合国際局長が報告。特に、2012年から3年続けて不正常であった総会の基準適用委員会がようやく正常化されたことに関して、背景・経過含めて詳細な説明がありました。今回は、議題に上った24の個別案件中、日本案件はなかったとのこと。しかし、スペインやイタリアにおけるILO第122号条約(雇用政策に関する条約)の適用状況が取り上げられ、特に第3条の「労使協議」の欠如について問題ありと勧告されたことが、来年、同条約に関する日本の適用状況が審議される予定であることから、同様の理由で専門家委員会の指摘対象になり得るとの報告がありました。

なお、使用者側理事である松井・経団連代表は所用のため欠席でしたが、書面にて総会のご報告をいただきました。

その後、出席議員と質疑・意見交換を行いましたが、ほぼ全員から質問や意見をいただき、今後の日本の労働政策のあり方等多方面にわたる活発な議論を行うことができました。今後の活動に活かしていきたいと思います。

なお、次回の勉強会は、8月4日に、ILO本部のジェンダー・平等・ダイバーシティ部ショウナ・オルネイ部長が来日される機会を利用して、日本がまだ未批准の中核条約「ILO第111号条約(雇用及び職業についての差別待遇の禁止条約)」について取り上げる予定です。

超党派「非正規雇用対策議連」 第2回勉強会開催される (秘書報告)

 

石橋議員が事務局長をつとめる「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟」の第2回目の勉強会が7月8日(水)午後に開催され、慶應義塾大学の清家 篤 塾長より「非正規雇用問題にどう対処すべきか」ご講演をいただき、20名近い出席議員と熱心な意見交換が行われました。清家塾長の主な講演内容は以下のとおりです。

1)正社員と非正規労働者の格差を、労働者間の利害対立として捉えるのではなく、むしろ非正規労働者の正社員化を進めることで格差是正を実現すべき。

2)働くものと企業双方にとって正社員のメリットは大きい。とりわけ人材を育てるための企業内の教育訓練は「投資」であり経済学的にも合理的な仕組み。学卒者の定期採用は、国際的にみて日本の若年失業率を低く抑えるのに大きく貢献している。

3)正しい処方は、正社員を減らすことではなく正社員になる機会を増やすこと。たとえば、学卒後3年間は新卒扱いとして企業は採用対象とし、何年かにわたって挑戦できる方法がある。「同一労働同一賃金」という考え方は、同じ賃金を払えばどこからでも同じ労働サービスを調達できるという考え方にもつながりかねない点に注意すべき

4)正社員の働き方、とりわけ長時間労働は深刻な問題であり、地域限定正社員・短時間正社員といった制度の出現は一つの解決策となりうる。二つの働き方があって、一方が他方より労働条件が良いとき、まず考えるべきは労働条件の良い方にあわせていくというのが常識的な考え方であり、正社員と非正規労働者の格差問題も、そこを間違えてはならない。

(報告者:田中秘書)

 

 

 

参議院厚労委「漏れた年金問題集中審議」で再び質問に!

6月16日(火)の午後、参議院厚生労働委員会で、2回目となる「年金情報流出問題に関する集中審議」が開催され、民主党を代表して私が40分の質問をさせていただきました。私自身、6月4日(木)に、参議院内閣委員会で本件に関して60分の質疑を行ったのに続き、2回目の質疑となりました。

本件については、すでに報道等で、皆さんもよくご存じのことと思いますし、ご自身の年金情報は大丈夫か?とご心配の方もおられるのではないかと思います。

125万件に及ぶ年金個人情報が日本年金機構から漏洩したことが公表されたのは、6月1日のことでした。しかし、問題の端緒となった標的型ウィルスへの感染は5月8日のことで、公表に至るまで3週間以上を要しています。これまでの国会質疑で、次第に5月8日以降の経過が明らかになってきているのですが、そこには、(1)日本年金機構によるあまりに杜撰な個人情報保護・管理の実態、(2)厚生労働省による全くいい加減なサイバーセキュリティ対策体制と運用の実態、(3)政府としてのサイバーセキュリティ体制の不備、があったのです。

今回、これまで明らかになった事実を踏まえ、さらに深掘りをしていく意味を込めて質問した内容は、主に以下のとおりです。

 

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1.厚生労働省の情報セキュリティ対策推進体制について

厚生労働省の官房長が、現在 最高情報セキュリティ責任者となっているが、CSIRTの責任者にもなっている。省庁セキュリティ体制として適切なのか問いただしましたが、厚生労働省の情報政策担当参事官と役割分担して対応しているという答弁。厚生労働省としての情報セキュリティ対策の推進体制がまったく機能していない現状が露呈しました。

2.内閣サイバーセキュリティセンター(NISC-GSOK)による5月8日及び22日の不正通信の検知と、厚生労働省(情報担当参事官室)への通知、その後の厚生労働省からの報告や助言・指導のやり取りについて

内閣サイバーセキュリティセンターが、厚労省統合ネットワークのシステム構成を共有していなかったことが明らかになりました。つまり、政府の情報セキュリティ対策に大きな穴が空いていたことになり、相当に問題だと担当者を追及しました。政府は、サイバーセキュリティ法案が改正されたことで今後はそうならないよう改善していくとの答弁ですが、今まで監視できていなかった組織が、これで機能するようになるのか疑問です。

さらに、5月8日に、GSOKが厚労省統合ネットワークから外部への不正通信を検知して、それをシステム掲載で厚労省に連絡した際、その通知を受け取る窓口としてNISCには厚生労働省・情報政策担当参事官室の①室長補佐、②専門官、③係長、④係員の4名が登録されていたことを確認。これまで「係長しか知らなかった」と答弁していたことが誤り(隠蔽?)であったことが明らかになりました。また、係長が4月1日に異動してきたばかりなのにいきなり課室情報セキュリティ管理者に使命され、特別な研修を受けることも今回の事案に対処させられていた事実も判明。やはり、今回の問題については厚生労働省の責任は大きいです。

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3.5月8日に、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC-GSOK)から、厚生労働省統合ネットワークから外部への不正通信があったことについて通知(連絡)を受けて以降、厚生労働省・情報セキュリティ委員会及びCSIRTが手順書に則って行った対処行動について

5月8日の時点で、不正通信の発生源が日本年金機構であること、しかもそれが、福岡の九州ブロック本部の端末であることがわかっていたのになぜ、1台の端末だけ遮断をして、年金機構のネットワーク全体、少なくとも九州ブロック全体を遮断しなかったのか再三たずねましたが、明確な答弁は得られませんでした。年金機構も厚生労働省も、全く当事者意識のない答弁で、このままでは再発防止は遠い道のりです。

4)これまで流出が確認された125万件のファイルについて

今、分かっている125万件の漏洩がどのサーバーから起きて、そのサーバーにはほかにもデータがあり、そのデータがさらに流出している可能性について質しましたが、現在 捜査中なので詳細の説明はできないとの答弁の繰り返し。しかし、可能性があることについては否定できませんでした。すでにその危険性は把握しているはずで、早く国民に注意喚起すべきであることを強調して、質問を終わりました。

今回、2度目の質問でしたが、日本年金機構も厚生労働省も、答弁内容がころころ変わるため、再三審議がストップし、十分な原因究明が出来ていません。単に日本年金機構だけの問題ではなく、厚生労働省、そして政府全体のサイバーセキュリティ対策の問題であり、危機感を強く持たざるを得ない状況です。今後も、国民の皆さんからの信頼回復をめざし、この問題にしっかりと取り組んでいきます。

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超党派「電子書籍振興議連」2015年度第1回総会を開催

6月10日(水)早朝より、私が事務局長をつとめる「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟」の今年度第1回総会を開催しました。

 

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この議連は、新しいデジタル時代の中で、日本の素晴らしい出版・印刷・活字文化をさらに大きく育てていくために、電子書籍の流通促進や海賊版対策の強化などを目的に結成され、昨年の通常国会で成立した「改正著作権法」で大きな役割を果たすことが出来ました。その改正著作権法が、いよいよ本年1月に施行され、電子書籍を対象とした出版権設定が可能になったことを受けて、この勉強会では昨年の採択時に衆参委員会で議決された11項目にわたる附帯決議への対応状況について、文化庁・経済産業省・国会図書館よりヒアリングを行い、課題の洗い直しを行いました。

今回も、出版者団体や著作者団体の皆さんなど、30名近い関係者の皆さんに出席をいただき、代表して日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長、日本出版者協議会の高須次郎会長、日本写真著作権協会の瀬尾太一常務理事からそれぞれのお立場で、改正著作権法の施行状況や今後の課題等についてご意見・ご提言をいただきました。

ヒアリングを通じて、現場の関係者の皆さんが、概ね、改正著作権法の施行状況について前向きに評価をされていることを確認することが出来ました。その上で、今後さらに電子書籍の流通促進や有効な利活用を進めて行くために、当議連として以下の課題をこれからの検討テーマとして確認しました。

  1. ナショナル・デジタル・アーカイブ構想
  2. 出版権登録・集中管理・権利処理機構構想
  3. 電子書籍価格設定問題(再販適用問題)
  4. 孤児作品(著作物)問題
  5. TPP交渉における著作権侵害の非親告化問題
  6. 出版物の海外展開の促進(翻訳機構構想)

今後は、これらの課題について優先順位を確認しながら、一つ一つ前に進めていきたいと思います。

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超党派「非正規雇用議連」2015年度第1回勉強会を開催

6月10日(水)の夕刻、私が事務局長をつとめる「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟(非正規対策議連)」の今年度第1回目の総会と勉強会を開催しました。

 

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昨年11月に設立された当議連でしたが、12月の衆議院解散の影響や通常国会の対応等、複雑な政治状況の中でなかなか具体的な活動ができないままでしたが、ようやく勉強会の開催に漕ぎ着けました。また、勉強会の開催を機にあらためて全国会議員に入会を募ったところ、新たに13名の議員が参加してくれて、全体で65名のメンバーで取り組みを進めていけることになりました。嬉しいですね。

そして、祈念すべき第1回目の勉強会は、東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授をお招きして、「非正規雇用問題にどう対処すべきか?ー政治への提言ー」というテーマでご講演いただきました。水町先生には、日本の非正規雇用労働者の現状や欧米諸国の法規制の現状、そして日本の法規制の課題や政治への具体的な提言など、大変明快にお話をいただきました。

具体的な提言の中では、パートタイム労働者や有期契約労働者だけでなく、派遣労働者についても均等待遇原則(不合理な労働条件の相違の禁止)を法制度化することの重要性を強調されていました。そして、均等・均衡待遇の実現のために、社会保険制度上の優遇措置や公契約入札上の優遇など、何らかの経済的インセンティブの付与を政策上、検討すべきとの指摘は、今後の議連の活動にも大変参考になる提言でした。

出席された議員からも活発な質問、意見が出されて、有意義な勉強会となりました。率直に、超党派の国会議員で、雇用問題を真摯にかつ建設的に議論出来るって素晴らしいな〜と、この議連の良さ、存在意義をあらためて確認できた勉強会となりました。今後もしっかり活動していきますね!

連合の座り込み行動に参加しました(事務所だより)

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こんにちわ、秘書元林です。

本日(6月12日)、連合の労働者保護ルール改悪阻止を求める議員会館前座り込みが行われました。

まさに衆議院の厚生労働委員会で派遣法の議論が行われているときの座り込みとなりました。

今日は夕方まで座り込み。その後、日比谷野外音楽堂に移動して集会が予定されています。

参加者の皆さんお疲れさまです。共にがんばりましょう!

 

 

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参議院内閣委員会で年金個人情報漏洩問題について質問!

6月4日(木)、先週に引き続き、参議院内閣委員会で、個人情報保護法改正案及びマイナンバー法改正案の質疑に立ちました。

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実は、元々、先週(5月28日)やり残した質問をやる積もりで準備していたのです。ところが、皆さんも報道等でご存知の通り、今週になって前代未聞の年金情報漏洩事件が発生し、日本年金機構から現在分かっているだけで約125万件もの年金個人情報が漏洩したことが明らかになりました。国民の皆さんから心配・懸念の声が噴出している中で、まずこの問題についてその全容や原因の解明、そして漏洩した情報の悪用を防ぐための体制構築に全力を尽くさなければ、到底、個人情報保護法改正案やマイナンバー法改正案についての理解が得られないであろうとの判断で、急きょ、この「漏れた年金情報」問題に集中して質疑を行いました。

主な質問項目と、やり取りのポイントは以下の通りですが、今まで明らかになっていなかった新事実を含めて、質疑した私自身も、驚き、唖然とする答弁の連続でした。ここでの紹介には限界がありますので、ぜひ参議院インターネット審議中継で質疑の模様をご覧下さい!

 

1)山口IT担当大臣の関与と責任について

まず、質問して驚いたことは、政府のIT担当の責任者である山口大臣に、この年金情報漏洩問題の報告があったのは5月30日だったということです。5月8日に、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が異常なアクセスを検知して厚生労働省に通知してから20日以上経っています。いくら、一義的に対応するのは所管官庁である厚生労働省とはいえ、政府のサイバーセキュリティ対策の司令塔がこんな重大な問題について20日間以上も認知していなかったことは大問題です。日本年金機構をターゲットにした攻撃型ウィルスメールであれば、これはある種、我が国の中枢に対する攻撃と同等であり、この緊急事態に対応する政府の責任体制はどうなっているのか、一体誰が司令塔として対応するのかが分からないことを露呈してしまったことになります。

山口大臣ご自身、そのことについて問題意識も持たず、反省すらされていない様子。これでは国民の心配は払拭されないでしょう。そのことを強く、糾弾しました。


2)初動の対応について

これまでの説明では、5月8日に、内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)が「日本年金機構に対する不正アクセスを検知し、通知した」と報道されていたのですが、今日の質疑で、NISCが監視していたのは「厚生労働省のシステム=統合ネットワーク」であり、その厚生労働省の統合ネットワークに対する不正アクセスを検知したというのが事実であることが判明しました。法律上、日本年金機構はNISCの監視対象にはなっていないのですが、日本年金機構が厚生労働省の統合ネットワークに繋がっていたため、NISCの監視に引っ掛かったわけです。

システム構成がどうなっているのか、詳細を確認してみないとなんとも言えませんが、しかし可能性としては、今回、日本年金機構の内部LANに仕掛けられてしまったバックドアを通じて、厚生労働省の統合ネットワークに侵入することも可能だったのではないか?と恐ろしくなり、その点を厚生労働副大臣に対して突きつけたのですが、「(今回については)厚生労働省のシステムへの侵入は認められていない」という答弁に終始し、「今回は幸い侵入がなかったとしても、システム構成上、その危険があった可能性は否定できないのではないか?」との重ねての追及には、明確に答弁がありませんでした(出来なかった?)。この点は大事なところなので、引き続き、確認しておきたいと思います。

 

3)年金機構の個人情報管理の実態について

今回の最大の問題は、日本年金機構の職員が、外部(インターネット)とつながったネットワーク上にある「共有ファイルサーバー」に、国民の大切な年金個人情報を基幹システムから移して、日常の業務を行っていたことにあります。そのことを、日本年金機構の水島理事長に対し、なぜそんなことを許していたのか、ずっと以前からそのような運用が常態していたのか追及したところ、水島理事長は「ルール上は禁止されている。しかし、例外的に認められていて、条件としてパスワードの設定などが要求されていた」と非常に苦しい説明。これまで漏れた年金情報のうち、55万件にはパスワードがかけられていなかったことが分かっており、恐らくは相当に杜撰な個人情報管理をしていたのだと思います。そして、もうずっとこういう運用がされてきたことも否定されませんでした。

日本年金機構に対する監督責任がある厚生労働省年金局も、日本年金機構の情報セキュリティガイドラインの内容については把握していたものの、そのガイドラインが規定通り運用されているのかどうかについては一度も現場のチェックを行っていなかったことも判明しました。この点、厚生労働省大臣の責任も追及されなければなりません。


4)漏えいした個人情報の全容について

現時点で漏洩した年金個人情報は、125万件とされています。これがいかにして確認をされたのか、これ以上件数が増えることはないのか、これまでに漏洩が明らかになっている四情報(基礎年金番号、氏名、生年月日、住所)以外に個人情報が漏れている可能性はないのかを質しました。

すでに報道されている通り、125万件の漏洩とその中身が確認されたのは、警察庁が年金機構システムのログを解析した結果、都内のある会社のサーバーと不審なやり取りがあったことを発見。その会社のサーバーを押さえたところ、年金機構から漏れたと思われるファイルが一部、残っていたため、そのファイルを年金機構側と照合したところ、漏洩ファイルであることが確認されたわけです。サーバーに残っていたのが漏洩したファイル群の「一部」であるならば、流出したのはそれ以上である可能性が高いわけですね。

また、そのファイルが、年金機構の共有ファイルサーバーのどこから抜かれたのか(どの物理セクター、どのツリー、どのディレクトリー?)、どの端末を経由して抜かれたのかも質しました。漏洩したファイルと同じツリーやディレクトリーにあるファイル(フォルダー)で、侵入されたPCの権限で入り込めるレベルのところまでは、当然、漏洩の恐れが否定できないわけで、その点を確認したかったわけです。

しかし水島理事長は、再三、答弁に窮しながらも、結局は「未だ調査中」「捜査中なので明らかにできない」を繰り返し、明確な回答は得られませんでした。しかし、すでにログの解析は相当程度に行われているはずで、漏洩の可能性がどこまで広がる恐れがあるのか(ないのか)は、ある程度分かってきていると思うのです。恐れがあるのであれば、早く国民に周知して、備えをしなければ、被害が拡大してしまう可能性があります。全く責任意識に欠けた姿勢で、これでは国民の懸念は払拭できませんね。


5)外部との遮断をなぜ5月8日の時点で行わなかったのか?

次に深刻な問題は、なぜ日本年金機構が、ウィルスへの感染を最初に検知した5月8日に、または100歩譲って、大量のウィルスメールが届いて2台目の感染が確認された5月18日頃に、外部との接続を遮断しなかったのか、ということです。

今日の質疑でも、NISCが5月22日に再び、厚生労働省統合ネットワークからの不正アクセスを検知して、年金機構にも伝えられています。にもかかわらず、年金機構が外部ネットワークとの全面的な遮断を行ったのは5月29日で、その前に、九州ブロックの遮断を5月22日、東京本部の遮断を5月23日と、部分的な対応だけを行っていたのです。一部報道でも、5月22日〜23日に機構のネットワークから外部への大量のデータ通信があったことが伝えられています。つまり、5月19日の時点で外部ネットワークへの遮断を行っていれば、今回の流出は防げたのです。

外部ネットワークとの接続を遮断したら業務に支障が出るのではないか、と思われるかも知れませんね。今日、そのことを水島理事長に確認しましたが、支障は全くないわけではないが、基本業務への支障はないとの答弁でした。であればなおさら、不正アクセスが判明した時点で遮断しなかった責任は重大です。そしてやはり、そのことを指示できなかった厚生労働省、及び政府全体の危機管理のあり方も問われなければなりません。

 

以上、今日の質疑のハイライトです。

今回の年金情報の漏えい問題は、システムの問題というよりは、日本年金機構の組織としての個人情報管理・保護の問題であり、政府のサイバーセキュリティの体制の問題なのではないでしょうか。であれば、同様の問題は、マイナンバーでも起こり得るのではないかと国民の多くが思うのも当然と言わざるを得ません。

やはり、この問題の全容解明と再発防止策の検討を最優先すべきです。私が所属している参議院厚生労働委員会でも、この問題についての集中審議が来週、予定されています。また、民主党としても「漏れた年金情報調査対策本部」を設置して、連日、対策会議を開催して党を挙げての取り組みを行っています。引き続きこの問題に私も全力で取り組んでいきます。

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小学校における「ICT活用授業」の視察を実施  (秘書報告)   

石橋議員が事務局長をつとめる「ICT教育促進議連」として、このたび3回にわたって「小学校におけるICT活用授業」を実際に視察をする企画を文科省・学校関係者の皆さまの協力で企画をし、議連のメンバーだけではなく衆参全国会議員に案内をいたしました。

6月2日(火)の午前中に、その視察第一弾として、筑波大学附属小学校の小6国語の授業を見学させていただきました。当日は石橋議員は所属委員会と重なり出席できませんでしたが、西銘 総務副大臣をはじめとして5名の国会議員と当議連有識者アドバイザーの上松、石戸両先生にもご参加いただきました。

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写真のように、生徒ひとりひとりにタブレット端末が配られ、隣の子と相談しながら先生の課題を解いたり、電子黒板を使って発表したり、お互いに学び合う協働学習が大変スムーズに行われているのが印象的でした。

授業のあとの意見交換の場では、担任の先生から、端末と電子教科書があればICT活用授業が自然にできるわけではなく、むしろ授業の構成を考える負担は増すので、教員に対する教え方の研修やノウハウの共有がないとなかなかうまくいくものではないとの指摘があり、あらためて議連として取り組む必要がある課題だと認識できました。

残り2回のICT活用授業の模様も、このブログで紹介していきますので、ご期待ください。  報告者:田中秘書

 

参議院内閣委員会で個人情報保護法改正案について質問!

5月28日(木)午前、参議院内閣委員会で「個人情報保護法改正案」及び「マイナンバー法改正案」に関する審議が行われ、私が民主党会派を代表して1時間、山口俊一IT政策担当大臣に対する質疑を行いました。参議院内閣委員会での質問は約2年ぶり。前回がまさにマイナンバー法案の審議でしたので、巡り合わせを感じますね。

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さて、今回の質疑では、個人情報保護法改正案に絞って主に以下の項目について質問をしました。

1.この法案の目的(第1条関係)

まず、山口大臣に、「今回の個人情報保護法案改正は何のための改正なのか?」を問いました。現行法のどこが問題であり、改正法案でそれがどう解決されるのか、という点を質して、認識を合わせたかったのですね。

私自身は、今回の改正は、国民生活の向上を実現するための改正でなければならないと考えています。憲法が保障する国民の権利、特に幸福追求権や生存権などですね。その実現のために、守るべき個人情報の定義を明確化し、その保護を強化しながら、一方で個々人の利益のためにその活用を図れるようにルールを整えるわけです。また、特定の個人を特定できないように加工した「匿名加工情報」については、公共の福祉のため、安心で暮らしやすい社会を創造していくために積極的な活用を図れるようにする改正です。そのことについて、山口大臣からも「思いは全く同じである」という答弁を引き出しました。であれば、今後も、経済成長のためとか、企業のビジネスのためとか言わずに、まず一義的に国民のための改正であると訴えて欲しいと要請しておきました。

2.個人情報の定義について(第2条関係)

今回の改正で、保護されるべき個人情報の範囲は、拡大するのか縮小するのか、それとも変わらないのかを確認したかったのですが、具体的な規定については政令に委ねるということで、明確な答弁はありませんでした。

3.匿名加工情報について

今回、新たに「匿名加工情報」をこの改正案で規定することになった目的や個人情報との違い、定義、義務、基準等今回の法案の肝でもあるので、かなりの時間を割いていろいろと質問しました。

最も重要な点は、「個人情報」を匿名加工した場合、それが自動的に法律上定義された「匿名加工情報」になるのではないことを政府答弁で確認できたことだと思います。現在でも、自社内で個人情報を取り扱う場合、安全性の観点等から仮名化(匿名化)して使用するケースはあるわけです。そのような場合でも、今後は「匿名加工情報」となり、公表義務などが課されてしまうのかという懸念が強まっていたわけですね。今日の質疑で、事業者が「匿名加工情報」を作成することを意図せず、加工して利用する場合は、それはあくまで「個人情報」のままであり、「匿名加工情報」にはならないことが確認できたので、いかなる場合に「匿名加工情報」になるのか、公表義務が課されるのかが明らかになったことは収穫でした。

4.要配慮個人情報について

今回の改正では、個人情報の中でも特に配慮すべき個人情報を含んだものを「要配慮個人情報」と規定しています。これに関して、「要配慮個人情報」も適切に加工すれば「匿名加工情報」を作成できることを確認しました。また、加工の基準や方法について、一般的な個人情報と要配慮個人情報とでは違いがあるべきではないか、という点については、加工化によって要配慮情報も削除され、容易照合性が失われるはずなので、特に差を設ける必要はないと考える、とのことでした。この点は、個々の個人情報の特性に応じた加工化ルールを策定することが重要だ、ということですね。

5.利用目的の変更について(第15条関係)

最後に、個人情報の利用目的の変更について質問しました。今回の改正で、利用目的の変更がどのような範囲で可能化という点について、第15条第2項の規制を緩和したのですが、衆議院の審議で山口大臣は、この点について電力データの例をあげて、「電力会社が省エネを促すサービスのために集めた家庭の電力使用状況に関するデータが、例えば社内の研究開発や安否確認サービスにも使えるようになる」と答弁したのですが、本当にそこまでの拡大が可能なのか、それではあまりに利用目的の変更可能性が広がってしまうのではないか、と質しました。

山口大臣は、あらためて今回の改正の趣旨と、大臣自身の考えを繰り返し説明するに留まりました。私からは、電力データが安否確認にも使えるというのは、ユーザーの側から見れば勝手に家庭の状況を監視されるのではないかという懸念にも繋がるので、慎重に検討して整理して欲しいと要望しておきました。この点、個人情報保護についての信頼性を確保する上でも重要なところなので、今後もフォローしていきたいと思います。

 

以上、質疑の主なポイントでした。今日は他にも、EUとの関係や海外にある企業への個人情報の提供、個人情報保護委員会の体制等質問を準備していたのですが、またも時間が足りずに終わってしまいました。結局、政省令や個人情報保護委員会に委ねられた項目も多いので、今回の改正が国民生活の向上に資するものとなるよう、今後もしっかりこの問題をフォローしていきます。