4月6日(月)に参議院の「政府開発援助(ODA)等に関する特別委員会」が開催され、民主党会派を代表して質問に立ちました。

この日のODA特別委は、いわゆる2階建て。前半はまず平成27年度予算案の委嘱審査で、ODA関連予算案についての審議。こちらは、同僚の藤末健三議員が質問に立ちました。そして、後半の議題が、新ODA大綱について。以前、このブログでもお伝えしたとおり、安倍内閣は今年2月にこれまでの「ODA大綱」を見直し、今後の政府の海外援助の指針となる新たな「開発協力大綱(新大綱)」を閣議決定しました。ODA特別委員会というのは、参議院だけに設置されている委員会で、本当はすぐにでも委員会を開催して新大綱について議論すべきだったのですが、今回、ようやく委員会が開催されて、担当大臣である岸田外務大臣とこの大綱の件で質疑ができたというわけです。

 

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今回、私が質問した項目は主に以下の4点です:

  1. 今回の新大綱は、これまで日本が重視してきた「貧困撲滅などの社会開発や相手国の自立支援」から、「国益剥き出しの経済成長重視」へとODA方針を大転換するものではないか?
  2. 例え非軍事目的であっても、他国軍や軍人への支援を公に認めることは問題で、ODA理念から逸脱するのではないか?
  3. 安倍総理が昨年5月のアジア安全保障会議で約束した、ASEAN諸国の軍隊への海洋安全保障にかかわる防衛装備品支援にODAが使われることはないか?
  4. 新しい大綱の下で、JICA(国際協力機構)の「環境社会配慮ガイドライン」はどう強化・発展されるか?

 

質疑時間が35分という限られた時間だったので、それぞれの項目について深いところまでやりとり出来なかったのが残念でしたが、全体として、いかに政府がいい加減にODA大綱の見直し、特に軍や軍人に対するODA支援解禁を行ったかを炙り出すことが出来たのではないかと思います。例えば、岸田外務大臣は、これまでにも他国軍に対する非軍事目的のODA支援を行ってきたと説明していますが、「では過去の支援の一覧を出してくれ」と聞くと出せないわけです。「じゃあこれまではどうやって軍事転用をモニターしてきたのか?」と聞いても、具体的にどの機関でいかなるモニターをやってきたのか、きちんとした説明はありませんでした。

また、驚くべきことですが、安倍総理がアジア安全保障会議で約束した海洋安全保障にかかわる防衛装備品支援については、参考人として来てもらった防衛副大臣が「実際に支援するかどうかも含めてまだ検討している」と答え、ではそれにどうODAが関わるのかについて聞いても、防衛副大臣も岸田外務大臣も答えられなかったのです! 総理大臣が国際会議で約束したことが、事前の摺り合わせもなく、事後の対応も未定なんて、どんな政府なのでしょう!?

今回の質疑で、大変残念ながら、新大綱について心配している皆さん、とりわけ、援助の現場で懸命に頑張ってくれているNGOなど民間の皆さんの「日本のODAが変質していくのではないか」という懸念が大いに深まってしまったのではないかと思います。いや、それではいけないので、今後もこの新大綱についての問題は、徹底的に追及していきます。