11月19日(木)午前に、文部科学部門会議が開催され、下記の2つの項目についてヒアリングと意見交換を行いました。

前半は、TPP知的財産分野のうち著作権関係について文化庁からヒアリングを行いました。TPP協定における主な著作権関連分野の合意事項は以下の5項目となっています。

1)著作物の保護期間を、今までは著作者の死後50年としていましたが、少なくとも70年までに延長することになります

2)著作権の侵害罪は原則として著作権者等の告訴が前提の親告罪でしたが、海賊版等違法な複製物を刑事罰の対象とするために著作権者の告訴がなくても検察官が公訴を提起できる非親告罪となります

3)著作権の侵害について、権利者を補償するために十分な額を定めた法定の損害賠償の制度を設ける

4)今まで、著作物の違法な複製を防止・抑止するコピーコントロールについては民事・刑事上の措置がありましたが、著作物の利用を管理する放送のスクランブル等アクセスコントロールについても民事上の救済措置及び刑事罰を定める

5)商業用レコードやCDのような有体物の放送・有線放送については2次使用に対する使用料請求権が実演家及びレコード制作者に付与されてますが、インターネット等から直接配信されるような音源を用いた放送・有線放送についても同様の請求権を付与する

出席議員からは、著作権の保護期間を延長することにともない権利者不明のいわゆる孤児著作物の対策をどうするのか、著作権の侵害を非親告罪とすることでパロディー等2次創作活動への影響をどう考えているのか、それぞれの項目の法案提出の時期等さまざまな質問が出されました。とりわけ著作権侵害の非親告罪化の問題については、各界からも心配する声が多く、文化庁は市場における競合関係にあるかどうかで判断するので問題ないとの説明でしたが、国会の審議等でより明確化していく必要がありそうです。

後半は、奨学金制度の改善について、労働者福祉協議会よりヒアリングを行いました。

「給付型奨学金制度の導入・拡充と教育費負担の軽減を求める」署名活動の報告と「給付型奨学金制度の早期創設、所得連動返済型の奨学金制度の創設、無利子奨学金の充実などを求める」地方議会意見書採択への協力要請を受けました。

①かつて2割程度だった奨学金利用者は年々増加し、今や177万人となり大学生の2人に1人が何らかの奨学金を利用

②ところが、日本の奨学金の約9割は貸与型で、その多くが利息のつく「奨学金」という名のローンになってしまっています

③OECD加盟34か国のうち、大学の授業料が有償で、国による給付型奨学金制度がないのは、日本だけ

④就職しても派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用につく大卒者が増加し、延滞者の8割が年収300万円以下

⑤延滞者には年利5%の延滞金が課されるため、一生奨学金返済に追われ結婚の妨げになったり、出産や子育てなどへの影響も懸念される

⑥日本学生機構が独立行政法人になったことで、公的な奨学金の回収が効率化の名の下に、民間の債権回収業者へ業務委託されてしまい金融事業化してしまっている

今の若者の深刻な状況に、出席議員からも労働者福祉協議会の活動内容に賛同の声が多く上がり、来年の参議院選挙における民主党の公約の大きな柱にしていくことを確認し閉会しました。

(報告者 田中秘書)