本日(5月19日)朝8時より、私が事務局長を務めている「ILO(国際労働機関)活動推進議員連盟(以下、ILO議連)」の今年度第2回目の勉強会を開催し、多数の会員議員と政労使の関係者の皆さまにご出席をいただきました。

 

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今日の議題は、6月1日から13日までスイスのジュネーブで開催される第104回ILO総会の議題と、それぞれの議題の主な討議ポイントについてです。まず、政府側を代表して、厚生労働省の井内国際課長より説明を頂き、続いて、桜田労働側理事と松井使用者側理事から、労使それぞれの課題認識についてお話しをいただきました。

今日、ご説明いただいた、今次ILO総会の主な議題と、ポイントは下記の通りです。

1)本会議・・・今年のテーマは、「労働の未来」で、ガイ・ライダーILO事務局長から報告が行われたあと、各国の政府代表演説、労使代表演説などが行われます。

2)一般討議・・・中小企業におけるディーセントワークの実現をテーマに、中小企業の雇用の質を改善し、生産性の高い雇用を創出するための政策等について議論を行う。

3)基準設定・・・途上国を中心にインフォーマル経済(露天商など労働関係法令や社会保障の適用がないか不十分な者による経済活動全般をさす)で働く労働者が拡大していることを踏まえ、フォーマル経済への移行促進に関する勧告の策定について議論を行う。

4)周期的議論・・・ILOの4つの戦略的目標(雇用、社会的保護、社会対話、労働における基本的原則と権利)について毎年1つづつ議論をしていて、今年は社会的保護の順番になる。グローバル化の進展、インフォーマル経済や非典型雇用の拡大等により変化する労働の世界に対応した社会的保護(労働者保護)の在り方(特に賃金政策・労働時間制度・労働安全衛生・母性保護)について議論を行う。

5)基準適用委員会・・・各国におけるILO条約の適用状況について個別審査等を行う。

 

これについて桜田労働側理事からは、

  1. ILO総会の期間が、今回、トライアルベースとはいえ2週間に短縮された。かつて4週間だったのが、3週間になり、今回2週間に。あまりに効率性に傾きすぎで、総会の効果に問題が生じる懸念がある。結果がどうだったか、しっかり検証していきたい。
  2. 総会の基準適用委員会が3年続けて不正常で終わっているので、今年こそ正常化させたい。
  3. 中小企業は課題も多いが、それだけ可能性も秘めている。企業のイニシアチブで労働者の存在への目配り、労働条件の底上げをお願いしたい。
  4. インフォーマル経済については、途上国だけの問題ではない。今や日本も含め、OECD加盟国ですら雇用のインフォーマル化が進み、偽装請負や偽装親方が拡大し、ワーキングプア問題が発生している。日本がアジアのインフォーマル経済にどう対応していけるかも含めて、しっかり議論していきたい。

 

また、松井使用者側理事からは、

  1. 事務局長報告の日本語訳が未だに出来ていない。いつも対応が遅いので、事前の準備が大変であることを付言しておきたい。
  2. インフォーマル化が途上国だけの問題ではないというのは同じ認識。日本企業にとっては、海外進出の際のイコールフッティングの問題でもあるので、勧告が採択されることは評価している。
  3. 中小企業に関しては、特にASEANで開発が遅れている国については、産業人材が整っていないので、育成の協力をしていきたい。ただし、保護だけに傾かず、バランスの取れた議論をお願いしたい。
  4. 総会の基準適用委員会については、改めて、純粋に条約監視のための委員会なのか、国内政治を持ち込む場なのか、懸念を持っている。が、今年は何とか、正常化するよう努力していきたい。なお、今回は、個別案件で日本問題がかかることはなさそう。

その後、出席議員と活発な意見交換が行われました。ILO総会終了後、6月中に、ILO総会の報告会を議連でまた開催する予定です。ちなみに、今回のILO総会への日本の参加者は、総勢50名とのこと。皆さん健康に留意され頑張ってきて下さい!