本日(3月26日)午後、民主党「外国人の受け入れと多文化共生社会のあり方を考える議員連盟(以下、多文化共生議連)」の第2回総会を開催しました。

今日の総会は、実に盛りだくさんな内容! はじめに、日本国際交流センターの毛受敏浩(めんじゅとしひろ)執行理事より、「日本の人口問題と社会・経済への影響〜移民議論の活性化をめざして」というテーマで講演をいただき、意見交換。講演の中で毛受さんは「日本の人口減少は今後、さらに加速化していく。社会の基本的サービスや経済の活力を維持していくためには、外国人を受けるしかなく、そのために政府として:1.移民受け入れの必要性とメリットを明確にすること; 2.ソフトランディング政策の強力な支援体制を整備し、外国人とのWin-Win となるビジョンを提示すること、などが必要であると強調されました。

講演に続き、現政権が検討を進めている外国人の受け入れ拡大政策について、その主な検討事項や今後のスケジュールを中心にヒアリング。具体的には、「外国人受け入れのあり方に関する議論の状況(内閣府:経済財政諮問会議、産業競争力会議等)」、「外国人技能実習制度の改革(法務省、厚労省)」、「高度人材ポイント制度の改革(法務省、厚労省)」、「2020東京オリンピックに向けた外国人労働者(主として建設労働者)受け入れの特例措置(国土交通省)」、「経済連携協定(EPA)等における介護士、看護士の受け入れ拡大(厚労省、外務省)」をテーマに各省庁担当者から説明してもらいました。

詳細な説明は省きますが、端的に言って、現政権はなし崩し的に外国人労働者の受け入れを拡大していこうとしています。外国人技能実習制度については、国内でこれまでにも様々な問題(人権侵害等)を引き起こしているのですが、その抜本的改善には触れず、単に拡大だけを検討しているわけです。しかも、「労働者不足を解消するために技能実習制度を活用」とまであからさまに言い始めています・・・(実習制度はあくまで研修のためのもの。労働力不足解消のためと言った瞬間に、制度の存立基盤そのものが破綻してしまうはずなのに)。

議連としては、今後、民主党内での政策議論に資するために、これらの短期的な課題を検討する作業チームをつくり、対応していくことを決定しました。

会合の最後には、ガーナ国籍の男性が、国費(強制)送還中に法務省入国管理職員の不当な制圧行為によって窒息死してしまった事件、「スラジュさん送還死亡事件」に関する国家賠償請求訴訟で、3月19日に東京地裁が原告「勝訴」の判決を出したことについて協議。結果、多文化共生議連として、ご遺族や支援NGOが政府(法務省)に対して控訴断念の要請を行うことを支援し、法務大臣に対して:1.控訴を行わないこと、2.判決内容を真摯に受け止め、入館職員の対応や国費送還のあり方について抜本的な改善を行うべく、直ちに検討に着手すること、3.抜本的な改善が実施されるまでの間、強制的な国費送還を行わないこと、を要請する要請書を提出することを決定しました。

こういう残念な事件がある限り、なし崩し的に外国人(労働者)の受け入れ拡大を図ることは、むしろ社会にとっての負の影響を拡大してしまう懸念があります。政府には、ぜひ誠意ある対応を要請したいと思います。

以上、今日の多文化共生議連総会の報告でした!