平成25年度補正予算案は、衆議院での可決後、2月5日〜6日の2日間、参議院予算委員会で審議され、6日夜に行われた参議院本会議で与党の賛成多数により可決、成立しました。

予算委員会では、採決前の最後の「締め括り質疑」で私も質問に立たせて頂いて、片道6分間(往復で約20分)、最後の質問をさせていただきました。インターネット中継で応援いただいた皆さん、ありがとうございました!

私の質問は、主に二つの柱で組み立てました。

  1. 東日本大震災被災地の復興事業、特に福島の復興(含:除染対策、東電福島第一原発廃炉・汚染水対策)を加速化するために必要な人員・人材の計画と、その確保策について
  2. 企業業績の回復を、労働者全体の実質賃金(可処分所得)上昇に確実につなげて、内需拡大とデフレ脱却への好循環を持続的に実現するために政府が主体的に実施すべき施策について(大企業に賃上げを呼びかける以外に)

まず、1点目について。政府は、今回の補正予算、そして来たる本予算でも、被災地の復興事業、特に福島の再生加速化プランに追加の予算を付けているわけですが、全国的にも多額の公共事業費を計上していて、さらにこれから東京オリンピックの関連事業も本格化させようとしています。それだけに今まで以上の人材難が心配されているので、政府が人員計画をきちんと立てて、優先的に人材の確保を行うつもりがあるのかどうか、そのことを問うたわけです。

政府からは、安倍総理はじめ、復興事業の担当大臣から万全の体制をとって対応していく旨、前向きな答弁を記録に残すことができましたが、一方で、(1)復興事業の入札不調はまだ解消されていないこと、(2)事前に人員計画を立てて対応しているというよりは、問題が起こった時の事後対応になってしまっていることも明らかになり、懸念が完全に払拭されたわけではありません。

今後も、しっかりと復興の進捗を確認していきたいと思います。

そして2点目については、もう皆さんもご推察の通りの中身です。政府は、今国会を「好循環実現国会」と銘打っていて、本補正予算案のめざすところも、最終的には企業業績の回復を、労働者の雇用拡大や賃金の上昇につなげることと説明しているわけです。しかし、政府は企業に賃上げを要請する一方で、労働者保護法制の規制緩和を進めようとしています。「これでは決して労働者全体の実質賃金上昇にはつながらず、好循環など到底、実現出来ない!」と訴えたわけです。

安倍総理は、「非正規の底上げも行っていく」と言いつつ、規制緩和は否定せず、さらに「全ての雇用労働者にすぐに賃上げが行き渡るわけではない」ことも認めた答弁をしました。これはつまり、いわゆる「トリクルダウン(=上の階層の労働者の賃金が上昇すれば、そのおこぼれが次第にその下の階層の労働者にも行き渡っていくこと)」の考え方をとっていることを意味しますが、トリクルダウンがそう上手くはいかないことは、すでにこの15年の日本の歴史が証明しています。

政治が今、とるべき道筋は、「拡大してしまった非正規雇用を縮減していくこと、つまり、労働者保護規制を強化して、その上で企業の法令遵守を高めていくことではないのか?」と安倍総理にぶつけましたが、残念ながら総理には響かなかったようです。

ただ、2月5日に厚労省が発表した勤労者統計では、2013年中も、労働者の実質賃金は低下していることが明らかになっています。一部労働者(=一部の正社員)のボーナスなどは上昇したものの、パートを中心とした非正規雇用の割合が拡大し、その賃金がマイナスだったために、労働者全体の賃金が低下してしまっているのです。

これはまさに、格差が拡大しているということであって、雇用は引き続き不安定化の傾向を緩めていないということです。このままではダメですね。

補正予算はこれで成立しましたが、これから来年度予算案の審議がはじまります。勤労者・生活者の暮らしを守るためにも、これからの審議でしっかりと政府の政策や姿勢の是非を問うていきます!