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超党派 「非正規雇用改革議連」 第4回総会開催 (代理出席報告)

 

10月29日(木)夕刻に、石橋議員が事務局長をつとめる超党派「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟」の今年度第4回総会が開催され、国会閉会中にもかかわらず12名の国会議員が出席し、8月6日に塩崎厚生労働大臣に対して当議連で申し入れた「平成28年度予算概算要求及び税制改正要望に向けた緊急提言」の各項目について、厚生労働省の生田 厚生労働省職業安定局長から対応の内容について丁寧に説明をしていただきました。

とりわけ、緊急提言の最初の項目にあげた「正社員転換・待遇改善実現プラン」を策定し、実行することについては、

1) 9月25日に厚生労働大臣を本部長とする第1回「正社員転換・待遇改善実現本部」が早速開催され、「来年1月中に①不本意非正規などの目標値②今後5年間の正社員転換・待遇改善に向けた具体的施策などを盛り込んだ「正社員転換・待遇改善実現プラン)」の策定を行い、来年4月からそのプランにもとづく5か年計画をスタートさせる。

2) 地方でも各都道府県労働局において、11月上旬までに「都道府県正社員転換・待遇改善実現本部」を設置し、来年3月末までに「地域プラン(地域計画)(仮称)」を策定し地域における正社員転換・待遇改善等を強力に推進していく。

3) 来年1月から3月にかけて、「不本意非正規対策・学卒正社員化キャンペーン」を行い、①若者雇用促進法に基づく職場情報提供制度及びハローワークにおける求人不受理制度の円滑な施行に向けた周知②新卒ハローワーク等において、ジョブサポーター等による個別支援の徹底、就職面接会の積極的開催、中小企業と大学生等とのマッチング等の実施などを実行していく。

との回答に、迅速な厚生労働省の対応を評価する意見が多く出されました。

社会保険料補助制度(中小零細企業への企業負担分補助等)の新設や給付型奨学金の創設、空き公営住宅の活用等まだこれからの課題となった項目もあり、引き続き当議連と厚生労働省や他の関係省庁と緊密に意見交換を行っていくことになりました。 (報告者 田中秘書)

外国人技能実習生が働く事業所の4分の3で法令違反!

厚生労働省は、9月30日に平成26年に労働基準法などに基づいて立ち入り調査した外国人技能実習生が働く3918事業所のうち、約4分の3に当たる2977事業所で法令違反があったと公表しました。違反事業所の数は、統計が公表されるようになった平成15年以降で過去最多でした。

違反の内訳は、違法に時間外労働をさせていた労基法違反が1010事業所(25.8%)と最も多く、業務の安全配慮が不十分といった労働安全衛生法違反が919事業所(23.5%)、時間外労働などへの割増賃金の不払いが698事業所(17.8%)と続いています。

なかには、時給が約310円だったり、労使協定に違反して月に約120時間を超える時間外労働をさせたりしたケースもあり、石橋議員が厚生労働委員会でもたびたび取り上げてきたとおり現行の外国人技能実習生の劣悪な労働環境が一向に改善されていないことがあらためて数字で裏付けられました。詳しい情報は、下記資料をご覧ください。

外国人技能実習生事業所立ち入り調査結果(平成26年)

 

安倍内閣は、このような状況下で外国人技能実習生の更なる受け入れ拡大を目指した法案を前通常国会に提出し、現在 衆議院の法務委員会で継続審議の扱いとなっています。引き続きこの問題についてもしっかりフォローしていきます。     (文責 田中秘書)

民主党 非正規雇用・ワーキングプア対策チーム 派遣労働など労働問題を考える分科会  (代理出席報告)  

9月30日(水)午後、標記会議が開催され、「ドイツの労働市場改革の成果~ハルツ法改革10年」というテーマで立正大学法学部の高橋賢司 准教授よりご講演をいだだきました。

主な内容は以下のとおりです。

1)ハルツ法制定の経緯

2000年代の初め、ドイツは経済成長や失業率の面で主要国と比較してあまり成果が上がらない状況にあった。そこで、連邦雇用庁の改革と企業・労働組合・学界・政界の代表者で構成されるハルツ委員会を発足させ、3年間で400万人の失業者を200万人に削減するための4つの法案からなるハルツ法を制定した。

2)ハルツ法の主な内容

①派遣期間の撤廃や同一賃金原則、人材サービスエージェンシー(PSA)の設置等派遣法の規制緩和 ②教育訓練クーポンの導入や中高年に対する補助金の創設等失業保険法改革 ③個人創業助成金による自立強化 ④月400ユーロまで労働者の所得税と社会保険料が免除されるミニジョブの創設 ⑤連邦雇用エイジェンシーの発足 ⑥失業保険の給付期間の制限 ⑦失業扶助と社会扶助の一部を統合した基礎保障制度を導入

3)ハルツ法の評価

①最大の目的だった失業率は低下し、長期失業者も減少した。ただし、ハルツ法の効果とみるか輸出の好調により景気が持ち直したためとみるかは評価がわかれる

②確かに仕事には就いたが、ワーキングプアが増加し十分生活できない層が拡大した。ミニジョブも確かに労働者の負担は減るが、本来使用者が従業員が食べていけるだけの賃金を保障せずに国が肩代わりする形となり、国の財政負担が増え保険料を基礎とする社会保障制度を長期的には弱体化させることになる

4)ドイツの再改革(うすい雇用の修正)

①2015年1月より原則8.5ユーロとする最低賃金を施行 ②期間無制限の派遣を禁止し、最大で18か月までとする派遣法の再規制の導入

5)日本へ示唆するもの

①ミニジョブや派遣の規制緩和は、更なる貧困を招き、特に最低賃金が不十分な場合には、ワ-キング・プアが起こりうる。

②ドイツと比べて日本の雇用保険+職業訓練給付金の支給期間が短く、雇用保険と生活保護の中間を拡充させる必要がある。

③長期的にみれば、派遣の再規制(一時的な労働に適合した制限的な派遣期間、平等取扱原則)、最低賃金・求職者支援の拡充が日本でも不可欠。

 

引き続き、日雇い派遣の規制緩和について厚生労働者よりヒアリングを行い、最後に山井座長の方から、「ドイツでも派遣法の規制緩和を見直して期間上限を導入しようとしているのに、我が国では全く逆の派遣法が今日施行されてしまった。日雇い派遣の年収要件も引き下げが検討されていてとんでもない話だ。ハローワークに今日から正社員より派遣の求人がどっと増えることになるのではないかと大変心配している。来月、民主党の共生社会本部としてドイツにハルツ法を含む労働市場改革の実態の視察に行ってくるので、今後の民主党の労働政策に生かしていきたい」とのまとめのあいさつで閉会となりました。  (報告者 田中秘書)

 

労働者派遣法一部改正案等に対する反対討論(9月9日:参議院本会議)

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第189通常国会

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」 及びその「修正案」

並びに「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案」に対する討論

(2015年9月9日:参議院本会議)

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民主党・新緑風会 石橋みちひろ

民主党・新緑風会の、石橋みちひろです。

私は、会派を代表し、ただいま議題となりました「労働者派遣法一部改正案」並びに修正案、及び、「同一労働・同一賃金法案」に対し、いずれも反対の立場で討論を行います。

今回の労働者派遣法改正案は、そもそも異常な法案です。前回の改正は、たった3年前の平成24年。初めて、派遣労働者の保護を前面に打ち出して、当時野党の自民党・公明党も賛成して成立し、まだその運用は始まったばかりです。しかも、その最も重要な改定である「労働契約申し込みみなし制度」は、長い準備期間を経て、この10月1日からようやく施行されるところでした。

ところが安倍政権は、あろうことか、業界団体の規制緩和の要望に応え、昨年、法案を国会に出してきました。2度にわたって廃案になったにもかかわらず、政府は今国会に、ほぼ同じ内容の法案を、しかも施行日を9月1日に設定して出してきました。何がなんでも「みなし制度」の根幹である「期間制限違反」を無きものにしたいという決意の表れであり、そのことは、9月1日を過ぎた今、施行日をなんと9月30日に修正してきたことからも明らかです。

労政審で審議すべき政省令事項が41項目もあること、さらには準備と周知のために相当な時間が必要なことを考えれば、円滑な施行は不可能です。現場は大混乱に陥ります。それでも数の力で押し切ろうとしています。かつてここまで露骨に、労働者を救済直前に裏切って切り捨てて、違法派遣を使って利益を上げてきたブラック企業を救済する悪法があったでしょうか?

委員会質疑でも、塩崎大臣は何十回も答弁不能に陥り、審議をストップさせました。政府与党自らが修正案を出さざるをえず、39項目にも及ぶ附帯決議が採択されたことからも、本法案がいかに欠陥だらけで、廃案にすべき法案であるかは明らかであります。

問題点を上げれば切りがありませんが、以下、五点に絞り、反対の理由を申し述べます。

第一に、本法案は、派遣の期間制限を事実上、撤廃し、これまで基本原則であった常用代替防止原則を有名無実化して、派遣の自由化に道を開き、正社員から派遣への置き換え及び固定化を招くもので、断じて容認できません。

歯止めなどありません。過半数労組代表等が反対しても、聞く必要はなく、受け入れ開始時には意見聴取の必要すらないのです。そもそも、期間延長しなければ、例外業務以外の一切の派遣労働者を受け入れることが出来なくなるために、事実上、延長しないという判断は困難なのです。

つまり、事業所単位への改悪によって、期間制限は実質的に無きものとなり、企業は経営判断で好きなように正社員を派遣労働者に置き換え、3年毎に労働者を入れ替えながら永久に派遣を使い続けることが可能になってしまいます。まさにこれは、業界による、業界の利益のための法案なのです。

第二に、雇用安定化措置義務は、抜け穴だらけで実効性がなく、派遣労働者の雇用が今まで以上に安定化することは到底、期待できません。

政府は、安倍総理を先頭に、繰り返し「正社員化を実現する法案だ」と宣伝してきました。しかしこれは全くのウソです。法案には「正社員化」などどこにも書いてありません。意味の無い「直接雇用の申し入れ」が雇用安定化措置の選択肢にあるだけで、それすらやる義務はないのです。派遣元事業主は、そもそも本来業務である「新たな派遣先の機会提供」さえしていればよく、しかも、義務規定の対象者は限定的で、大半は努力規定のみ。かつ、義務規定逃れも簡単にできてしまいます。そんな穴だらけの雇用安定化措置に、何の意味があるでしょうか?

第三に、教育訓練提供義務も、キャリアアップや処遇改善を保障する規定になっておらず、かつ派遣労働者の権利として確保されていないため、実効性がありません。

条文には、ご丁寧に「派遣就業に必要な技能及び知識」を身につけることと規定されていて、何を提供するかの判断は派遣元事業主に委ねられています。派遣労働者本人の希望や選択を尊重する義務などどこにもありませんし、塩崎大臣も、「何をするかは経営者の判断」と答弁で認めてしまっているのです。派遣労働者の皆さんが、全く期待できないと訴えておられるのも当然のことです。

第四に、この法案では、派遣労働者の賃金アップも処遇改善も実現されず、不合理な労働条件格差も、職場差別も野放しのまま放置されるため、派遣への固定化だけが進んでしまいます。

なぜなら、均衡待遇への配慮のみを規定した条文は、現行法から全く変更されておらず、派遣労働者の権利を強化する改正などどこにもないからです。派遣元事業主は今、「正社員よりずっと安くて、便利で、楽です」などと宣伝広告を打って競争していますが、塩崎大臣は、そんなとんでもない広告を許さないという政治的意志さえ示さないのです。つまり、政府は最初から、派遣労働者の処遇改善も、権利や尊厳の保護も、本気で実現するつもりなどなかったことは明らかです。

第五に、本法案によって、専門26業務が一律に廃止され、これまで派遣の中で、比較的、雇用が安定し、かつ処遇も良かった専門業務の皆さんが、かえって雇用の危機に瀕してしまいます。

すでに多くの専門職の方々が、契約打ち切りの通知を受け、衝撃を受けておられます。そもそも労働者派遣制度は、専門職や、真に臨時的・一時的な業務に限って例外的に認められるべきものなのです。それを今回、専門業務という区分を撤廃してしまうことは、派遣制度のあるべき姿を根底から覆す大改悪であり、絶対に廃案にすべきです。

以上、労働者派遣法改正案原案に対する反対理由を申し上げました。なお、修正案についても、施行日を9月30日に設定した暴挙も含め、諸問題の根本的な解決にはなっていないため、反対です。

また、「同一労働・同一賃金法案」についても、衆議院での修正の結果、派遣労働者への適用に関する規定が、①均等ではなく均衡待遇でもよしとされたこと、②立法による措置が担保されなくなったこと、かつ、③1年以内ではなく3年以内の措置と大きく後退してしまったことなどから、法案の実質的な意義が失われてしまったため、反対です。

 

同志議員の皆さん、圧倒的多数の当事者の方々が、本法案に反対しています。将来を見通せない雇用の不安定さと、頑張っても報われない低賃金と、不合理な処遇格差と、全く理不尽な職場差別の中で、苦しい毎日を過ごし、それでも一生懸命に働いておられる派遣労働者の皆さんたちです。反対しているのは、決して、法案の中身を理解していないからではありません。この法案がいかに欠陥だらけで、派遣労働者の権利や地位や雇用の安定にはつながらず、これではむしろ、企業が今まで以上に、派遣労働者を雇用の調整弁として自由に使い、正規雇用を減らし、労働コストの削減で利益を出すことを可能にする法案だということを理解されているからこそ、反対しておられるのです。

今回の法案は、今の派遣労働者の皆さんの希望を奪うだけではなく、これから社会に出る若者や、企業で活躍したいと願う女性たちの正社員への希望をも奪い、一生派遣で、不安定かつ低賃金の労働に押し込み、一部企業の儲けのために彼らの将来を犠牲にしてしまう大改悪です。

それだけではありません。今後、正社員が減り、不安定かつ低賃金の派遣労働が増大すれば、個人消費は一層、減退し、貧困と格差が拡大して社会が不安定になり、貴重な人材まで失われ、少子化が加速し、地方経済はさらに疲弊していくのです。それがなぜ、分からないのでしょうか?

労働は、商品ではありません。労働者は、モノではないのです。労働者の犠牲の上に、我が国の発展などありません。派遣労働者を犠牲にした企業の成長など、あってはならないのです。「世界一、労働者が安心して働いて、安心して暮らしていける国を創る」ことこそ、私たち政治家の責任であり、私たち民主党は、派遣労働者の皆さんを含む全ての勤労者の皆さんとともに、その実現に向けて全力を尽くしていくことをここにあらためてお約束し、私の反対討論と致します。

(了)

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超党派「非正規雇用対策議連」が塩崎厚生労働大臣へ申し入れを行いました!

8月6日(木)夕刻、厚生労働省の大臣室において、私が事務局長を務めている超党派「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟」から塩崎厚生労働大臣に対して、『平成28年度予算概算要求及び税制改正要望に向けた緊急提言』を手交しました。

 

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申し入れに参加したのは、尾辻会長(自民党)をはじめとする議連メンバー8名です。このブログでも随時、紹介してきましたが、昨年秋に議連を設立し、今年度 に入ってから、有識者を招いた勉強会を開催してきたました。その過程で、ぜひ勉強会の成果を踏まえて政府の来年度予算編成および税制改正作業に具体的な要望を提出しようということになり、7月30日に議連役員会で提言案を取りまとめ、8月5日の議連総会で最終決定したのが、この日大臣に申し入れした提言です。

下段に全文を掲載しておきますので、ぜひご一読下さい!

 

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日頃、厚生労働委員会では徹底的にやり合っている塩崎大臣ですが、この日は超党派議連からの申し入れということもあってか、大変神妙な面持ち。かつ、私たちの提言の各項目について、大変丁寧にご所見をいただきました。とりわけ、「不本意非正規社員ゼロ&学卒全員正社員就職実現キャンペーン(仮称)」の全国展開や、給付型奨学金の創設、非正規雇用労働者の雇用の実態に関する調査・研究の実施の3点については、大臣から想定以上に前向きな回答を頂くことができました。「非正規雇用労働者が増えることを良いと思っているわけではない。賃金格差も広がっていて、対策が必要だと考えている。提言をいただいた、給付型の奨学金の創設を含む一人親世帯への支援や、調査研究の充実など、関係省庁との調整も含めて事務方にしっかり検討させたい」との大臣答弁、しかと受け止めました。

今後、概算要求から予算編成議論が本格化していきますので、議連としても厚生労働大臣の具体的な取り組みをフォローしていきます。

なお、大臣申し入れ後、厚生労働省記者クラブで、「非正規雇用対策議連」として記者会見を行い、緊急提言の内容と大臣とのやりとりについて説明しました。結局、あまり報道されなかったのは残念至極でしたが・・・。

 

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「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟」

平成28年度予算概算要求及び税制改正要望に向けた緊急提言

〜非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活への第一歩実現に向けて〜

( ダウンロード:H28年度概算要求に向けた緊急提言案 2015.08.06版

Ⅰ.提言の背景

我が国では、雇用全体に占める非正規雇用の割合が4割近くにまで拡大し、中でも、非自発的な「不本意非正社員」の増加と、がんばって働きながらも生活苦に喘ぐ「ワーキングプア層」の拡大が社会的な課題になっている。特に、新たに社会に出る若者たちの約半数が非正規雇用労働者として職業人生のスタートを切ることを余儀なくされ、その多くが、低賃金かつ不安定な雇用環境の中で将来に希望を持てずに生活している状況は、我が国における閉塞感の蔓延と社会の活力の低下や、少子化に伴う社会保障制度の不安定化を招き、何より、日本社会の未来を担う貴重な人的資源の損失にもつながっており、早急に改善・打開を図っていく必要がある。

このような観点から、私たち超党派国会議員で構成する議員連盟は、政府及び関係省庁に対し、平成28年度予算概算要求及び税制改正要望に下記の具体的事項を盛り込むことを提言する。

Ⅱ.具体的提言事項

  1. 平成28年度政府予算編成の最優先課題の一つに「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活の実現」を位置づけ、とりわけ、これから社会に出る若者たちが職業生活のスタートを正規社員として迎えることが出来る『学卒全員正社員就職の実現』を目標に掲げ、具体的施策を講じること。
  1. 「正社員転換・待遇改善実現プラン」を策定し、実行すること
    • 厚生労働大臣を本部長として、厚生労働省内に「正社員転換・待遇改善実現本部(仮称)」を設置し、非正規雇用労働者の①正社員転換と②待遇改善について、国全体としての目標値や期限、実施されるべき具体的施策を定めた「正社員転換・待遇改善実現プラン(仮称)」を策定し、実行すること。
    • 併せて都道府県労働局に、労働局長を本部長とする「正社員転換・待遇改善実現(都道府県)本部(仮称)」を設置し、本部が策定した実現プランを踏まえ、当該地方自治体とも連携して、それぞれの地域の実状を踏まえた「地域プラン(地域計画)(仮称)」を策定し、実行すること。
    • 加えて、「不本意非正規社員ゼロ&学卒全員正社員就職実現キャンペーン(仮称)」を策定し、全国展開を図ること。
    • なお、実現プラン及びキャンペーンの策定においては、主要な労使団体とも協力し、①最低賃金水準の引き上げ、②社会保険の適用拡大、③労働法令遵守の徹底及びブラック企業対策の強化、④均等待遇(不合理な労働条件差別の禁止)の推進、⑤仕事と家庭生活の調和(ワークライフバランス)の確保などを最大限考慮し、具体的施策を講じること。
  1. 優良事業主に対する支援策の拡充を行うこと
    • 非正規雇用労働者の①正社員転換、②待遇改善、③教育訓練施策に積極的に取り組み、かつ実績を上げている事業主(優良事業主)に対して、以下の支援策を講じること:

(1)既存の助成金制度(キャリアアップ助成金、職場定着支援助成金等)の拡充や新たな助成制度の創設

(2)既存の税制優遇措置(雇用促進税制や所得拡大促進税制)の拡充や新たな優遇措置の新設

(3)社会保険料補助制度(中小零細企業への企業負担分補助等)の新設

  1. 非正規雇用労働者に対する支援策を拡充・新設すること

(1)一定所得水準以下の一人親世帯への緊急生活支援策を講ずること:

①  児童扶養手当の拡充(満額支給の所得制限の引き上げ、多子加算の増額等)

②  就学援助制度及び高等学校等就学支援金の拡充(補助額の上乗せ、補助対象費目の拡充、等)。併せて、児童養護施設への国庫補助拡大も検討。

③  給付型奨学金の創設及び無利子型奨学金の拡充。

④  住宅(家賃)補助制度の創設・拡充、など。

(2)非正規雇用労働者でかつ奨学金返済困難者に対する緊急支援策を講ずること:

①  奨学金利子の減免措置

②  返済の充当順位の変更(元本優先返済)

③  所得連動型返済への切り替え、など。

  1. 公共調達における優良事業主への優遇措置を創設すること
    • 国(中央省庁、独立行政法人等)及び地方公共団体が実施する公共調達(公契約)において、優良事業主に対する優遇措置(優先調達等)を講ずる。
  1. 非正規雇用労働者の雇用の実態に関する調査・研究を実施すること
    • 非正規雇用労働者の雇用実態(雇用形態別の賃金、労働条件、休日・休暇・休業、一時金・退職金、昇進・昇級・昇格、勤続年数、昇給・手当、福利厚生、教育・訓練、パワハラ・セクハラ・マタハラ、法令違反などの実状。公務・公共サービス関連の職場における雇用実態も対象に含むこと)に関する調査研究を行う。

(以上)

【参考】

「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟」

議連目標の達成に向けた中長期的政策検討課題(素案)

 

1.労働憲章(仮称)の制定・決議

⇨我が国における雇用(働き方)の基本原則を「無期・フルタイム・直接雇用(正規社員)」と位置づけ、政府にその実現を雇用政策の基本に据えることを義務付ける。

⇨その上で、個々人の選択による多様な働き方を確保しつつ、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現に向けた施策を講じることを明記する。

⇨特に、これから社会に出る若者が、職業生活のスタートを正規社員として迎えることが出来るよう、「学卒全員正社員就職の実現」を目標に掲げ、①中学・高校・大学でのキャリア教育の推進、②実践的職業訓練と組み合わせた日本版デュアルシステムの導入と推進、③公共職業紹介制度等を通じた正社員就職の実現、④ブラック企業対策等、法令遵守の徹底等について国が具体的施策を講じるよう規定する。

 

2.ワークルール教育推進法(仮称)の制定

⇨労働法制や雇用形態の多様化・複雑化に伴って、様々な労働トラブルが発生し、かつブラック企業やブラックバイトなどの新たな問題が増加している中、労働者及び使用者双方が、労働関係法制度を中心とする労働関係諸制度についての正確な理解を深め、かつ適切な行動を行い得る能力を身につけることをめざし、「ワークルール教育推進法(仮称)」の制定をめざす。

 

3.ワークライフバランス確保法(仮称)の制定

⇨国民一人ひとりが、やり甲斐や充実感を感じながら働いて生活の安定を確保しつつ、それぞれのライフステージに応じて家庭や地域生活の中で多様な生き方が選択・実現できる社会を実現するため、ワークライフバランス(生活と仕事との調和)確保法(仮称)を制定する。

⇨具体的には、①就労による経済的自立の確保(特に地域別・産業別最低賃金の引き上げ、均等・均衡待遇の実現など)、②健康で豊かな生活のための時間の確保(特に、労働時間の上限規制や休息規制の導入など)、③個々のライフステージに応じた多様な働き方の選択肢の確保等が実現されるよう措置を講じる。

 

4.公契約基本法(仮称)の制定

⇨国・地方の厳しい財政状況を背景に、公契約の受注価格の低下が続き、結果として労働者の賃金・労働条件の著しい低下を招いている中、公契約の適正化を図り、ディーセントワークの促進を目指すため、公共事業・委託事業・指定管理者・物品調達などの公共調達(公契約)において、労働関係法令の遵守及び社会保険の全面適用などの条件を定める「公契約基本法(仮称)」の制定をめざす。

⇨その中で特に、非正規雇用労働者の正社員化の促進、待遇改善等に積極的に取り組んでいる優良企業からの調達を優先的に行うこととし、そのための第三者機関によるランク付けを検討する。

⇨また、公契約基本法(仮称)の検討に併せ、公務職場における非正規労働者の正規化や雇用の安定、処遇改善を図ることをめざし、いわゆる「官製ワーキングプア」問題の解消にむけた法制度の整備も検討する。

(以上)

超党派「ILO活動推進議員連盟」2015年度第3回勉強会を開催!

8月4日(火)早朝、私が事務局長を務めている「ILO活動推進議員連盟」の今年度第3回勉強会を開催。今回は、ILO本部ジェンダー・平等・ダイバーシティ部よりショウナ・オルネイ部長が来日された機会を利用し、我が国がまだ批准をしていない中核条約である「雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(ILO第111号条約)」について講演をいただき、出席いただいた多数の国会議員および政労使のILO理事組織の皆さんにご議論をいただきました。

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まず、オルネイ部長からは、この第111号条約の未批准国が、世界であと14カ国になっていて、G20諸国では、なんと日本とアメリカだけが残されていることに言及がありました。そして日本がなぜ批准出来ないのか?という疑問について、ILOに対する日本政府の報告が「社会的パートナー(労使)との話し合いの実施を示しつつも、国内法と条約の整合性に関するさらなる検討が必要」と、2000年以降ずっと同じ回答が続いていることを指摘し、この条約は差別禁止と平等実現のための二つ基礎的要素である多様性(ダイバーシティ)と包摂(インクルージョン)のカギでもあって、ぜひ一刻も早い批准に向けて努力を続けて欲しい旨、要請がありました。

出席議員からは、なぜ日本でいまだに批准できないのかに質問が集中。厚生労働省の伊澤ILO政府側理事からは、日本の場合は、国内法との整合性がとれないと条約を批准できない原則になっていることに加え、この条約を批准させる強力な推進力が存在していないことが理由だと説明がありましたが、この条約が採択されてもう半世紀以上経過していることを考えれば、大変苦しい説明だったと言わざるを得ません。

ILO議連としても、未批准の中核条約の批准に向けた努力は課題の一つ。今後も、111号条約の批准促進に向けて、検討を深めていくことを確認して、勉強会を終了しました。

 

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ちなみに、オルネイ部長とは、私がILOの国際研修センター(通称トリノセンター)で勤務していた時代に何度か一緒に仕事をした仲。もう10年振りぐらいの再開でしたが、お互いに元気に頑張っていることを讃え合いました!

厚生労働委員会で「労働者派遣法改悪案」の問題点を質す!

7月30日(木曜日)、参議院厚生労働委員会で、「労働者派遣法改悪案(改正案)」が実質審議入りし、民主党会派を代表して、津田弥太郎議員と私が、それぞれ50分間の質問を行いました。

 

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すでにこのブログでも何度となく主張していますが、この労働者派遣法改悪案、まさに希代の悪法です。私たちは、昨年来、一貫して「断固、廃案にすべし」との立場で戦い、連合の皆さんとも連携・協力して、昨年は2度、廃案に追い込みました。しかし政府は、三度目の正直とばかりに今国会に再提出し、残念ながら衆議院では、この6月に、与党の数の力=強行採決で突破されてしまい、参議院に回ってきたわけです。簡単な戦いではありませんが、私たちは引き続き、徹底審議を通じて法案の問題点を炙り出し、廃案に追い込むことをめざして戦っていく覚悟です。

私たちがこの悪法に反対する理由は多岐に渡りますが、主たる理由を三点、挙げておきます:

  1. 派遣の期間制限が事実上、撤廃され、企業は実質的に経営上の判断において、業務単位で派遣を利用することが半永久的に可能になります。これからは一般業務でも、3年毎に派遣労働者を入れ替えさえすれば継続的に派遣を使い続けることが出来るので、正社員から派遣への代替が長期的に可能になる、つまり、今後ますます、正社員の数が減少していく危険性が高いわけです。
  2. 一方、労働者にとっては、これまで派遣の中では比較的雇用が安定していて処遇も良かった専門26業務が撤廃されてしまい、全ての派遣労働者が上限3年毎で雇用を切られる(または同一業務単位の部課を異動する)ことになり、全体的に派遣雇用の不安定化が促進されてしまいます。
  3. その上、政府が目玉と主張している「雇用安定化措置」やキャリアップのための「教育訓練提供義務」は、ほとんどその実効性が期待出来ず、正社員化や直接雇用化、経験やスキルアップに伴う処遇改善には結びつかない可能性が大です。

つまりは、派遣労働の構造的な問題である「雇用の不安定さ」「処遇格差」「企業メンバーシップからの排除や差別」「キャリア形成の困難さ」「労働基本権を行使出来ない立場の弱さ」などは改善・解消されないまま、期間制限だけが事実上撤廃され、派遣労働が拡大してしまうわけです。これでは、ますます雇用の非正規化、不安定化を拡大し、特に若者や女性の雇用を一層、厳しいものにしてしまうだけです。だから断固、反対するわけです。

さて、 今回の質疑で私が取り上げたのは、主に以下の項目です。質疑の詳細は、ぜひ参議院インターネット審議中継のHPでご覧をいただきたいと思いますが、結論から言えば、塩崎厚生労働大臣、全く答弁が出来ない。いや、事前の質問通告やら官僚レクで、どういうポイントについて質問すると伝えてあるにもかかわらず、的確な答弁が出来ないということは、そもそもちゃんとした制度設計がなされていないということに尽きるし、所管大臣が基本的なことも理解していないのでは、まともな審議は出来ないということです。とっとと廃案にして欲しい!

 

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1)派遣労働制度(間接雇用制度)が持つ制度的な問題点についての認識

まず、最初に「派遣労働」というのは、雇用の原則であるべき「正社員」、つまり「期間の定めのない、直接雇用のフルタイム社員」とは違うという認識を塩崎大臣がもっているかどうか、質しました。

その上で、「間接雇用」かつその多くが「期間の定めがある」契約である派遣労働の構造的な問題についての認識を質問。派遣労働は、「雇用が不安定」「処遇格差、安心格差」「会社のメンバーシップからの除外、差別」「キャリアップ・キャリア形成の困難さ」「労働基本権行使の困難さ」などの深刻な問題があることを指摘しましたが、大臣はあまりピンときていないようでした。

そして、処遇格差や差別の問題が解決・改善されないままに、派遣期間制限の実質撤廃が行われてしまえば、不安定かつ低賃金の派遣労働者が拡大し、固定化して、格差が拡大してしまうことになると指摘し、本法案によって「派遣労働者の賃金カーブが正社員並みに上昇していくことを約束できるのか?」と質しましたが、大臣は「それは自由経済なので保障は出来ない」と答弁。だったら、本法案が「労働者のため、正社員化のため、キャリアップや処遇改善のため」なんてウソを宣伝するなと怒り爆発です。

2)雇用安定化措置(第30条関連)の対象範囲(対象人員)とその実効性について

続いて、今回の法案改正の目玉とされているこの第30条の雇用安定化措置について確認。まず、雇用安定化措置が発動されるのはいつの時点で、逆にその義務が終了(完了)するのはいつの時点なのか質問したところ、塩崎大臣が度々、答弁に窮し、質疑がストップ。目玉の条文のはずなのに、塩崎大臣は全くこの条文の内容を理解していないようなのです。結果、残念ながら、質疑を深めることが出来ませんでした。

あまりに質疑が止まるので、厚生労働省としてこの第30条の始点と終点を対象労働者毎に整理し、委員会に資料を提出するよう求め、理事会協議事項としてもらいました。

ただ、酷い答弁の中で、いくつか重要な確認答弁も得る事が出来ました。まず、第30条の雇用安定化措置の対象には、①同一業務単位への継続派遣期間が1年〜3年未満見込みの場合と、②1年未満見込みの場合があって、②の一年未満見込みの場合は、同じ派遣元での通算雇用契約期間が1年を越える派遣労働者だけが適用対象なんですね。で、後者の場合ですが、同じ派遣元での通算雇用契約期間1年以上という条件さえ満たしている労働者であれば、次の派遣契約がどれだけの期間であろうが(極端に言えば1日でも)、雇用安定化措置の努力義務の対象になるのです(直接雇用の申し入れは対象外ですが、これはそもそも実効性ないのでいいでしょう・・・苦笑)。あくまで努力義務ですが、登録型でも短期の細切れ派遣でも、派遣元に雇用安定化措置の努力義務を果たすプレッシャーをかけられるのは大きいです。

加えて、この雇用安定化措置は、同一業務単位への継続派遣期間が3年見込みになると、努力規定ではなく義務規定になります。問題は、一体どの時点で3年見込みの対象になるのか、ということなのですが、これは、「派遣期間が3年に達する派遣契約が締結された時から」という整理との答弁です。つまり、同じ業務単位への派遣契約が1年契約の場合は、2回目の更新で3年目に入った時以降、義務規定となって派遣元はその義務を果たす必要があるわけです。もちろん、2回目の更新に達する以前も、1回目の更新時点で努力規定はかかっていますので、その時点から派遣元は努力することが求められます(この場合は直接雇用の申し入れも含む)。

これらの確認は、今後の議論に重要なので、ぜひ皆さんも押さえておいて下さい。

しかしここで、深刻な問題が生じます。派遣元の多くは、恐らく、義務規定(第30条第2項)逃れをしてくるであろうという問題です。つまり、上記の場合、2回目の更新をせず、当該派遣労働者を他の派遣先(同一事業主の他の業務単位への異動でもいい)に移してしまえば、3年見込みにはならないので、義務規定逃れが出来てしまうわけですね。これを許していては意味がありませんので、「このような義務規定逃れは立法趣旨に違反する行為か?」と質したところ、「そうだ」との答弁。これはOK。しかし、「ではそのような脱法行為(義務規定逃れ)を繰り返す悪質な派遣元事業主は、許可取り消しを行うべきと考えるがどうか?」との問いには、「義務規定違反ではないので、許可取り消しまではできない」という答弁。もちろん、ここで紛糾!

皆さん、お分かりですね。雇用安定化措置(第30条)は、政府曰く、本法案の目玉です。しかし、その適用が義務になるのは、3年見込みの労働者のみです。だから義務規定逃れのような脱法行為を許してしまったら全く意味ないわけですが、政府はそんなことさらさらやる気無いことが暴露されてしまったわけです。塩崎さん、自ら認めってしまいましたね〜。はい、これじゃやっぱり効果なしで、悪法です。

というところまでで、結局、まだ私の用意した質問の5分の1も終わっていない状況で、質問時間が来てしまいました。いやいや、初日の審議状況だけでも、この法案がいかに酷い代物か、お分かりいただけたと思います。これからまだまだ審議は続きます。しっかり追及して、断固、廃案に追い込んでいきたいです。

「外国人家事支援人材受入制度」の問題点について質問!

7月7日(火)に、参議院内閣委員会で「国家戦略特区法改正案」の質疑に立たせていただいて、私が特に問題意識を持っている「外国人家事支援人材受入制度」の問題について、1時間、担当である石破茂大臣を中心に、質疑させていただきました。

 

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私たち民主党は、本改正案に反対の立場で質疑に臨み、当日午後の委員会採決、及び7月8日の参議院本会議でも反対票を投じましたが、残念ながら賛成多数で可決してしまいました。そこで、翌7月9日(木)に、今度は参議院厚生労働委員会(一般質疑)において、あらためてこの「外国人家事支援人材受入制度」の問題を取り上げて、塩崎厚生労働大臣に対して質疑しました。

 

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私が、特に問題視している点は以下の3点です。

1.家事代行サービス業への外国人家事支援人材の受け入れが、市場動向調査も雇用実態調査も行われず、何の根拠もなく実施されようとしているのではないか?

私がこの問題について調査し、質疑を行ってびっくりしたのが、昨年4月に最初に提案がなされてから、昨年6月に閣議決定(日本再興戦略2014改訂版)がなされ、さらに今年4月に法案提出に至るまで、家事代行サービス業界について、何の市場動向調査も雇用実態調査もやられていなかったことです。

今回の提案は、そもそも「人手不足」の解消と、「女性の活躍促進」を目的に(名目上は)提案されているのです。しかしそれにもかかわらず、市場や雇用の動向がどうなっているのか調査していないというのですから、「じゃあどうやって人手不足と判断したのか?」という問いにまともに答えられないわけです。政府が言い訳がましく引っ張り出してきたのは、何年も前に民間の調査機関がやった調査。政府は実態を把握していません。

石破担当大臣に、「もし市場が拡大していて、人手不足なら、賃上げや労働条件の改善をして、よりよい雇用を日本人労働者に提供できるじゃないか?なぜそれをやらないのか?」「なぜ外国人に家事支援をさせるのか?」と追及しても、「選択肢を増やすため」としか答えられないのです。「では、外国人を受け入れて、結果的に日本人労働者の雇用や賃金にマイナス効果が出たらどうするのか?」と聞いてもまったく答弁できません。そりゃそうです。実態がわかっていないのですから・・・。

まずは、雇用実態調査をちゃんとやらなければなりません。塩崎厚生労働大臣にもそのことを重ねて要求したのですが、全く気のない答弁でした。この人、本当に問題がわかってないし、労働者のために働く気がないとしか思えません・・・。

2.この制度が日本人労働者の雇用を奪ったり、賃金水準を引き下げたりしないか?

私が限られた資料で確認したところ、家事代行サービスの市場は拡大している様子。つまり、雇用も拡大していて、この分野は圧倒的に女性の職場だけに、女性によりよい雇用を提供できる可能性があるのです。「まずは、日本人の雇用機会拡大を図るべきでは?」と重ねて要請。そして、外国人家事支援人材を導入した場合、日本人の雇用機会を奪ったり、賃金水準を引き下げたりしないよう、具体的な措置をしっかりととるべきだと要請しました。

実は、昨年6月に閣議決定された、日本再興戦略2014改訂版の中に、大変気になる方針が示されているんです。そこには「安価で安心な家事支援サービスの実現」をめざすと書かれていて、その流れで「外国人家事支援人材の活用」が提案されてきたんです。つまり、これを素直に読めば、安い労働力の導入のために外国人を連れてくる、と読めちゃうのですね。

これに対しては石破大臣も、「政府の責任において、日本人労働者との間の不当な差別待遇は絶対に許さない。均等待遇は必ず確保する」と答弁されましたが・・・。しかし現状で、日本人と外国人との均等待遇を確保する労働法令はないのです。つまり、このままでは、労働基準監督署も取締りの根拠法令がないわけですね。これで均等待遇を確保するには、何らかの具体的な制度設計と政令等での措置を講じなければならないわけで、そのことを塩崎大臣に強く求めておきました。

3.外国人労働者の人権侵害や搾取につながらないか

今回、外国人労働者を「家事支援サービス業」に受け入れるということは、一般的にいって「単純労働」の受け入れに道を開くものであると考えられるわけです。政府は「質の高い人材を受け入れるので、単純労働の受け入れではない」と苦しい取り繕いをしていますが、どうごまかしてもそりゃムリですね。家庭内での炊事や洗濯については、その技術レベルを評価する資格はないわけで、明確な区分が出来ないのですから。政府がどのような制度設計をして在留資格を出すのか、注視していきたいと思います。

その上で、私たちが心配しているのは、この制度がまたしても、外国人労働者の人権侵害や搾取につながらないかということです。なにせ、制度設計がまったくもっていい不十分ですし、今のところ、これまで深刻な問題を引き起こしてきた「外国人技能実習制度」の教訓を踏まえて検討しているとは到底、思えません。受け入れを行う「認定機関」に全てを任せ、送り出し国側の体制も認定機関任せのようですから、容易に悪質なブローカーが介在して、人権侵害が起こってしまう懸念があるのです。

石破大臣にも、そして塩崎大臣にも、この点について万全の制度設計と監視体制を講じるように要請しましたが、いかんせん、問題の本質を分かっていない人たち。心配です・・・。

今回、またしても「本音と建て前」を使い分けて、この外国人家事労働人材の受け入れ制度を導入しようとしていることに、強い憤りを覚えます。これまで何度となく繰り返してきていますが、法制度上の建前(設計)と、本音(現実の運用)とが大きく乖離することによって、労働者の人権侵害や搾取という深刻な問題を生じさせ、それに対して法令も行政も適切な対応が出来ず、問題を深刻化させてしまうという悪循環を繰り返してしまう懸念です。

今回の場合は、日本人、特に女性労働者の雇用や労働条件にも悪影響を及ぼしてしまう重大な懸念もあります。 政府には、重ねて、もし今回の制度によって、日本人労働者、特に女性の雇用を奪ったり、家事労働者の賃金や労働条件の低下を招いたり、外国人家事労働者の人権侵害などの事態が発生した場合には、即刻、制度の中止ないし抜本的見直しを図るべきことを要求していきますし、私たちも、しっかりと制度設計と、実際の運用を監視していきたいと思います。

超党派「ILO議連」の2015年度第2回総会を開催!

7月9日(木)朝8時より、私が事務局長を務めている「ILO活動推進議員連盟」の、2015年度第2回総会を開催し、12名の国会議員と多くの議員代理の皆さん、そして政労使代表組織の関係者の皆さんにご出席をいただきました。

 

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今日は、最初に議連の上半期の活動報告と下半期の活動計画案を満場一致でご承認いただき、続いて6月1日から13日までスイスのジュネーブで開催された「第104回ILO総会」について、出席された政労使代表メンバーよりご報告をいただきました。

まず、政府側理事の伊澤章・厚生労働省総括審議官より、①本会議での日本政府代表演説、②中小企業とディーセントで生産的な雇用創出に関する委員会(一般討議)の概要、③インフォーマル経済からフォーマル経済への移行促進に関する勧告の内容、④社会的保護に関する周期的議論の主な論点、⑤基準適用委員会の審議概要、そして⑥2016年〜17年の計画予算、について総括的なご報告をいただきました。

労働側からは、吉田・連合総合国際局長が報告。特に、2012年から3年続けて不正常であった総会の基準適用委員会がようやく正常化されたことに関して、背景・経過含めて詳細な説明がありました。今回は、議題に上った24の個別案件中、日本案件はなかったとのこと。しかし、スペインやイタリアにおけるILO第122号条約(雇用政策に関する条約)の適用状況が取り上げられ、特に第3条の「労使協議」の欠如について問題ありと勧告されたことが、来年、同条約に関する日本の適用状況が審議される予定であることから、同様の理由で専門家委員会の指摘対象になり得るとの報告がありました。

なお、使用者側理事である松井・経団連代表は所用のため欠席でしたが、書面にて総会のご報告をいただきました。

その後、出席議員と質疑・意見交換を行いましたが、ほぼ全員から質問や意見をいただき、今後の日本の労働政策のあり方等多方面にわたる活発な議論を行うことができました。今後の活動に活かしていきたいと思います。

なお、次回の勉強会は、8月4日に、ILO本部のジェンダー・平等・ダイバーシティ部ショウナ・オルネイ部長が来日される機会を利用して、日本がまだ未批准の中核条約「ILO第111号条約(雇用及び職業についての差別待遇の禁止条約)」について取り上げる予定です。

超党派「非正規雇用対策議連」 第2回勉強会開催される (秘書報告)

 

石橋議員が事務局長をつとめる「非正規雇用労働者の待遇改善と希望の持てる生活を考える議員連盟」の第2回目の勉強会が7月8日(水)午後に開催され、慶應義塾大学の清家 篤 塾長より「非正規雇用問題にどう対処すべきか」ご講演をいただき、20名近い出席議員と熱心な意見交換が行われました。清家塾長の主な講演内容は以下のとおりです。

1)正社員と非正規労働者の格差を、労働者間の利害対立として捉えるのではなく、むしろ非正規労働者の正社員化を進めることで格差是正を実現すべき。

2)働くものと企業双方にとって正社員のメリットは大きい。とりわけ人材を育てるための企業内の教育訓練は「投資」であり経済学的にも合理的な仕組み。学卒者の定期採用は、国際的にみて日本の若年失業率を低く抑えるのに大きく貢献している。

3)正しい処方は、正社員を減らすことではなく正社員になる機会を増やすこと。たとえば、学卒後3年間は新卒扱いとして企業は採用対象とし、何年かにわたって挑戦できる方法がある。「同一労働同一賃金」という考え方は、同じ賃金を払えばどこからでも同じ労働サービスを調達できるという考え方にもつながりかねない点に注意すべき

4)正社員の働き方、とりわけ長時間労働は深刻な問題であり、地域限定正社員・短時間正社員といった制度の出現は一つの解決策となりうる。二つの働き方があって、一方が他方より労働条件が良いとき、まず考えるべきは労働条件の良い方にあわせていくというのが常識的な考え方であり、正社員と非正規労働者の格差問題も、そこを間違えてはならない。

(報告者:田中秘書)