総務省 「第1回 携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」  (傍聴報告)

10月19日(月)午前に、総務省内会議室において、標記有識者会合が開催されました。9月11日に政府の経済財政諮問会議で安倍首相から「携帯電話料金の家計負担軽減は大きな課題。しっかり方策を検討してほしい」と高市総務大臣に指示し、具体的な検討をするために設置されたものです。

会議の冒頭、太田 総務大臣補佐官から、「携帯電話の料金が高くなったから安くするという単純な話ではないことは認識している。問題は利用者目線に立ったときに今の携帯電話の販売方法や料金プランが透明性・公平性の観点からどうなのか。委員の皆さんでご議論いただき年末までにいい提案をお願いしたい」とのあいさつがありました。

その後、このタスクフォースの会議や会議で使用した資料は、原則として公開すること。原則として議事要旨を作成し公開することをメンバー間で確認し、総務省から「携帯電話の料金その他の提供条件」に関する現状と課題」について説明がありました。

検討課題として、総務省からは以下の項目が提示されました。

1)利用者ニーズや利用実態を踏まえた料金体系

・データ通信のライトユーザーや通話の「かけ放題」が不要な人等のニーズに対応したプランとなっているか。

2)端末価格からサービス・料金を中心とした競争への転換

・携帯電話端末の販売と通信契約が一体化し、通信料金割引と端末購入割引を通じた端末価格を中心とした競争となっているところ、利用者にとって端末価格と通信料金との関係が分かりにくいものとなっていないか。

・MNPを頻繁に行う利用者や端末を買い替える利用者に様々な形での優遇がある中、端末を買い替えない長期契約者、さらにはSIMロックフリー端末を自分で購入して契約する利用者等との間の公平性についてどのように考えるか。

3)MVNOサービスの低廉化・多様化を通じた競争促進

・MVNOサービスの更なる低廉化・多様化を図っていくため、どのような方策が必要か。

さらには、メンバーの北 構成員から「我が国の携帯電話料金の課題と解決の方向性」について発表があり、メンバー間の自由討議が行われました。

次回は、大手携帯電話事業者、MVNO、公益社団法人 全国消費生活相談員協会からヒアリングを行うことになりました。詳しくは、総務省のホームページ http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ict_anshin/02kiban03_03000243.html をご覧ください。

年末までの短期間での検討作業になりますので、引き続きこの会議の内容をフォローしていきます。 (報告者 田中秘書)

 

 

 

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民主党 総務・内閣(地域主権改革・地方再生)部門会議に出席

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9月9日(水)に開催された民主党の総務・内閣(地域主権改革・地方再生)部門会議に、石橋議員は出席し、来年度の総務省・内閣府(地方創生関連)予算及び地方交付税の概算要求についてヒアリングを行いました。石橋議員からは、年金機構の年金情報流出事件を受けて、地方自治体の情報セキュリティ対策が急務であるが、総務省としての具体的な取組み内容について質問し、できるだけ早期に事業実施していくことを求めました。   (報告者 田中秘書)

民主党総務部門会議で「世界最先端IT国家創造宣言(改訂版)」について議論

7月22日(水)の朝、民主党・総務部門会議において、6月30日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言(改訂)」について政府のIT総合戦略室より説明があり、その内容等について質疑及び意見交換を行いました。

 

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今回の改訂版の詳細は、ぜひIT戦略本部のホームページ(こちらからどうぞ)でご確認をいただきたいと思います。工程表も併せて改訂されていますし、地方創生IT利活用促進プラン(案)も掲載されています。

政府からの説明を受けて、私からは主に、以下の点を指摘・質問しました。

1). 今回の改訂は、2013年に閣議決定されたオリジナル版を修正したものだが、説明の中で、この2年間に何が達成出来たのか、出来なかったのか、工程表はどこまで進んだのか、進まなかったのか、実現出来なかった原因は何であって、それをどう克服するのか、という話がほとんどなかった。唯一、コスト削減を実現したとの話があったが、これまでの2年間の成果がコスト削減だけではあまりにも寂しいのではないか? 国民に対して、具体的にどのような分野で、どれだけ暮らしが豊かになっているのか、世界最先端のIT国家を実感して貰えるだけの具体的な姿を提示すべきではないか? それが出来なければ、国民の理解も支持も得られない。

2). 特に、上手くいかなかった、予定通りにいかなかった部分を率直に提示し、問題を分析することで、国民の理解を得る努力をするべきではないか? 特に、この2年間で、どれだけ予算が獲得できたのか? 予算が確保されなかったから、実現出来なかった部分もあるとすれば、それもきちんと示して、今後の議論に役立てるべきではないのか?

3).今回、国民の中での情報格差(デジタル・ディバイド)の解消という記述が消えてしまっているように見えるが、それはもう情報格差は解消されたという理解なのか? 超高速ブロードバンドの整備というハード(インフラ)面と、それを活用して提供される様々なサービスやアプリケーションといったソフト面の両面において、まだまだ離島や中山間地等において、都市と比べて格差があるのではないかと思うが、違うのか?

 

IT戦略本部からは、これまでインフラ整備を進めてきたが、相互の情報連携が出来ないことが多く、その原因はデータの標準化やルール化が行われていないことだったと考えている。そのため、分野ごとのデータの標準化に力を入れてきて、2年経過してようやくそれが進みつつある。予算については、マイナンバー制度関連の項目に集中投下してきたが、あらためて必要な予算についてはしっかり要求していきたい、などの回答がありましたが、正直、あまり熱意を感じられない説明でした。残念至極です。

民主党政権の下で、政府CIO制度を創設し、中央省庁のシステム改革(霞ヶ関クラウド等)については徐々に成果を挙げてきているように思います。しかしその他の分野は、残念ながらまだまだです。私も初当選以来、政府のIT戦略の進捗状況をフォローしてきました。これからも国民本位のIT先進国家となるよう、必要な応援をしながら、政府の取り組み状況をしっかり監視していきたいと思います。

 

 

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超党派「電子書籍振興議連」2015年度第1回総会を開催

6月10日(水)早朝より、私が事務局長をつとめる「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟」の今年度第1回総会を開催しました。

 

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この議連は、新しいデジタル時代の中で、日本の素晴らしい出版・印刷・活字文化をさらに大きく育てていくために、電子書籍の流通促進や海賊版対策の強化などを目的に結成され、昨年の通常国会で成立した「改正著作権法」で大きな役割を果たすことが出来ました。その改正著作権法が、いよいよ本年1月に施行され、電子書籍を対象とした出版権設定が可能になったことを受けて、この勉強会では昨年の採択時に衆参委員会で議決された11項目にわたる附帯決議への対応状況について、文化庁・経済産業省・国会図書館よりヒアリングを行い、課題の洗い直しを行いました。

今回も、出版者団体や著作者団体の皆さんなど、30名近い関係者の皆さんに出席をいただき、代表して日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長、日本出版者協議会の高須次郎会長、日本写真著作権協会の瀬尾太一常務理事からそれぞれのお立場で、改正著作権法の施行状況や今後の課題等についてご意見・ご提言をいただきました。

ヒアリングを通じて、現場の関係者の皆さんが、概ね、改正著作権法の施行状況について前向きに評価をされていることを確認することが出来ました。その上で、今後さらに電子書籍の流通促進や有効な利活用を進めて行くために、当議連として以下の課題をこれからの検討テーマとして確認しました。

  1. ナショナル・デジタル・アーカイブ構想
  2. 出版権登録・集中管理・権利処理機構構想
  3. 電子書籍価格設定問題(再販適用問題)
  4. 孤児作品(著作物)問題
  5. TPP交渉における著作権侵害の非親告化問題
  6. 出版物の海外展開の促進(翻訳機構構想)

今後は、これらの課題について優先順位を確認しながら、一つ一つ前に進めていきたいと思います。

参議院内閣委員会で年金個人情報漏洩問題について質問!

6月4日(木)、先週に引き続き、参議院内閣委員会で、個人情報保護法改正案及びマイナンバー法改正案の質疑に立ちました。

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実は、元々、先週(5月28日)やり残した質問をやる積もりで準備していたのです。ところが、皆さんも報道等でご存知の通り、今週になって前代未聞の年金情報漏洩事件が発生し、日本年金機構から現在分かっているだけで約125万件もの年金個人情報が漏洩したことが明らかになりました。国民の皆さんから心配・懸念の声が噴出している中で、まずこの問題についてその全容や原因の解明、そして漏洩した情報の悪用を防ぐための体制構築に全力を尽くさなければ、到底、個人情報保護法改正案やマイナンバー法改正案についての理解が得られないであろうとの判断で、急きょ、この「漏れた年金情報」問題に集中して質疑を行いました。

主な質問項目と、やり取りのポイントは以下の通りですが、今まで明らかになっていなかった新事実を含めて、質疑した私自身も、驚き、唖然とする答弁の連続でした。ここでの紹介には限界がありますので、ぜひ参議院インターネット審議中継で質疑の模様をご覧下さい!

 

1)山口IT担当大臣の関与と責任について

まず、質問して驚いたことは、政府のIT担当の責任者である山口大臣に、この年金情報漏洩問題の報告があったのは5月30日だったということです。5月8日に、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が異常なアクセスを検知して厚生労働省に通知してから20日以上経っています。いくら、一義的に対応するのは所管官庁である厚生労働省とはいえ、政府のサイバーセキュリティ対策の司令塔がこんな重大な問題について20日間以上も認知していなかったことは大問題です。日本年金機構をターゲットにした攻撃型ウィルスメールであれば、これはある種、我が国の中枢に対する攻撃と同等であり、この緊急事態に対応する政府の責任体制はどうなっているのか、一体誰が司令塔として対応するのかが分からないことを露呈してしまったことになります。

山口大臣ご自身、そのことについて問題意識も持たず、反省すらされていない様子。これでは国民の心配は払拭されないでしょう。そのことを強く、糾弾しました。


2)初動の対応について

これまでの説明では、5月8日に、内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)が「日本年金機構に対する不正アクセスを検知し、通知した」と報道されていたのですが、今日の質疑で、NISCが監視していたのは「厚生労働省のシステム=統合ネットワーク」であり、その厚生労働省の統合ネットワークに対する不正アクセスを検知したというのが事実であることが判明しました。法律上、日本年金機構はNISCの監視対象にはなっていないのですが、日本年金機構が厚生労働省の統合ネットワークに繋がっていたため、NISCの監視に引っ掛かったわけです。

システム構成がどうなっているのか、詳細を確認してみないとなんとも言えませんが、しかし可能性としては、今回、日本年金機構の内部LANに仕掛けられてしまったバックドアを通じて、厚生労働省の統合ネットワークに侵入することも可能だったのではないか?と恐ろしくなり、その点を厚生労働副大臣に対して突きつけたのですが、「(今回については)厚生労働省のシステムへの侵入は認められていない」という答弁に終始し、「今回は幸い侵入がなかったとしても、システム構成上、その危険があった可能性は否定できないのではないか?」との重ねての追及には、明確に答弁がありませんでした(出来なかった?)。この点は大事なところなので、引き続き、確認しておきたいと思います。

 

3)年金機構の個人情報管理の実態について

今回の最大の問題は、日本年金機構の職員が、外部(インターネット)とつながったネットワーク上にある「共有ファイルサーバー」に、国民の大切な年金個人情報を基幹システムから移して、日常の業務を行っていたことにあります。そのことを、日本年金機構の水島理事長に対し、なぜそんなことを許していたのか、ずっと以前からそのような運用が常態していたのか追及したところ、水島理事長は「ルール上は禁止されている。しかし、例外的に認められていて、条件としてパスワードの設定などが要求されていた」と非常に苦しい説明。これまで漏れた年金情報のうち、55万件にはパスワードがかけられていなかったことが分かっており、恐らくは相当に杜撰な個人情報管理をしていたのだと思います。そして、もうずっとこういう運用がされてきたことも否定されませんでした。

日本年金機構に対する監督責任がある厚生労働省年金局も、日本年金機構の情報セキュリティガイドラインの内容については把握していたものの、そのガイドラインが規定通り運用されているのかどうかについては一度も現場のチェックを行っていなかったことも判明しました。この点、厚生労働省大臣の責任も追及されなければなりません。


4)漏えいした個人情報の全容について

現時点で漏洩した年金個人情報は、125万件とされています。これがいかにして確認をされたのか、これ以上件数が増えることはないのか、これまでに漏洩が明らかになっている四情報(基礎年金番号、氏名、生年月日、住所)以外に個人情報が漏れている可能性はないのかを質しました。

すでに報道されている通り、125万件の漏洩とその中身が確認されたのは、警察庁が年金機構システムのログを解析した結果、都内のある会社のサーバーと不審なやり取りがあったことを発見。その会社のサーバーを押さえたところ、年金機構から漏れたと思われるファイルが一部、残っていたため、そのファイルを年金機構側と照合したところ、漏洩ファイルであることが確認されたわけです。サーバーに残っていたのが漏洩したファイル群の「一部」であるならば、流出したのはそれ以上である可能性が高いわけですね。

また、そのファイルが、年金機構の共有ファイルサーバーのどこから抜かれたのか(どの物理セクター、どのツリー、どのディレクトリー?)、どの端末を経由して抜かれたのかも質しました。漏洩したファイルと同じツリーやディレクトリーにあるファイル(フォルダー)で、侵入されたPCの権限で入り込めるレベルのところまでは、当然、漏洩の恐れが否定できないわけで、その点を確認したかったわけです。

しかし水島理事長は、再三、答弁に窮しながらも、結局は「未だ調査中」「捜査中なので明らかにできない」を繰り返し、明確な回答は得られませんでした。しかし、すでにログの解析は相当程度に行われているはずで、漏洩の可能性がどこまで広がる恐れがあるのか(ないのか)は、ある程度分かってきていると思うのです。恐れがあるのであれば、早く国民に周知して、備えをしなければ、被害が拡大してしまう可能性があります。全く責任意識に欠けた姿勢で、これでは国民の懸念は払拭できませんね。


5)外部との遮断をなぜ5月8日の時点で行わなかったのか?

次に深刻な問題は、なぜ日本年金機構が、ウィルスへの感染を最初に検知した5月8日に、または100歩譲って、大量のウィルスメールが届いて2台目の感染が確認された5月18日頃に、外部との接続を遮断しなかったのか、ということです。

今日の質疑でも、NISCが5月22日に再び、厚生労働省統合ネットワークからの不正アクセスを検知して、年金機構にも伝えられています。にもかかわらず、年金機構が外部ネットワークとの全面的な遮断を行ったのは5月29日で、その前に、九州ブロックの遮断を5月22日、東京本部の遮断を5月23日と、部分的な対応だけを行っていたのです。一部報道でも、5月22日〜23日に機構のネットワークから外部への大量のデータ通信があったことが伝えられています。つまり、5月19日の時点で外部ネットワークへの遮断を行っていれば、今回の流出は防げたのです。

外部ネットワークとの接続を遮断したら業務に支障が出るのではないか、と思われるかも知れませんね。今日、そのことを水島理事長に確認しましたが、支障は全くないわけではないが、基本業務への支障はないとの答弁でした。であればなおさら、不正アクセスが判明した時点で遮断しなかった責任は重大です。そしてやはり、そのことを指示できなかった厚生労働省、及び政府全体の危機管理のあり方も問われなければなりません。

 

以上、今日の質疑のハイライトです。

今回の年金情報の漏えい問題は、システムの問題というよりは、日本年金機構の組織としての個人情報管理・保護の問題であり、政府のサイバーセキュリティの体制の問題なのではないでしょうか。であれば、同様の問題は、マイナンバーでも起こり得るのではないかと国民の多くが思うのも当然と言わざるを得ません。

やはり、この問題の全容解明と再発防止策の検討を最優先すべきです。私が所属している参議院厚生労働委員会でも、この問題についての集中審議が来週、予定されています。また、民主党としても「漏れた年金情報調査対策本部」を設置して、連日、対策会議を開催して党を挙げての取り組みを行っています。引き続きこの問題に私も全力で取り組んでいきます。

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小学校における「ICT活用授業」の視察を実施  (秘書報告)   

石橋議員が事務局長をつとめる「ICT教育促進議連」として、このたび3回にわたって「小学校におけるICT活用授業」を実際に視察をする企画を文科省・学校関係者の皆さまの協力で企画をし、議連のメンバーだけではなく衆参全国会議員に案内をいたしました。

6月2日(火)の午前中に、その視察第一弾として、筑波大学附属小学校の小6国語の授業を見学させていただきました。当日は石橋議員は所属委員会と重なり出席できませんでしたが、西銘 総務副大臣をはじめとして5名の国会議員と当議連有識者アドバイザーの上松、石戸両先生にもご参加いただきました。

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写真のように、生徒ひとりひとりにタブレット端末が配られ、隣の子と相談しながら先生の課題を解いたり、電子黒板を使って発表したり、お互いに学び合う協働学習が大変スムーズに行われているのが印象的でした。

授業のあとの意見交換の場では、担任の先生から、端末と電子教科書があればICT活用授業が自然にできるわけではなく、むしろ授業の構成を考える負担は増すので、教員に対する教え方の研修やノウハウの共有がないとなかなかうまくいくものではないとの指摘があり、あらためて議連として取り組む必要がある課題だと認識できました。

残り2回のICT活用授業の模様も、このブログで紹介していきますので、ご期待ください。  報告者:田中秘書

 

参議院内閣委員会で個人情報保護法改正案について質問!

5月28日(木)午前、参議院内閣委員会で「個人情報保護法改正案」及び「マイナンバー法改正案」に関する審議が行われ、私が民主党会派を代表して1時間、山口俊一IT政策担当大臣に対する質疑を行いました。参議院内閣委員会での質問は約2年ぶり。前回がまさにマイナンバー法案の審議でしたので、巡り合わせを感じますね。

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さて、今回の質疑では、個人情報保護法改正案に絞って主に以下の項目について質問をしました。

1.この法案の目的(第1条関係)

まず、山口大臣に、「今回の個人情報保護法案改正は何のための改正なのか?」を問いました。現行法のどこが問題であり、改正法案でそれがどう解決されるのか、という点を質して、認識を合わせたかったのですね。

私自身は、今回の改正は、国民生活の向上を実現するための改正でなければならないと考えています。憲法が保障する国民の権利、特に幸福追求権や生存権などですね。その実現のために、守るべき個人情報の定義を明確化し、その保護を強化しながら、一方で個々人の利益のためにその活用を図れるようにルールを整えるわけです。また、特定の個人を特定できないように加工した「匿名加工情報」については、公共の福祉のため、安心で暮らしやすい社会を創造していくために積極的な活用を図れるようにする改正です。そのことについて、山口大臣からも「思いは全く同じである」という答弁を引き出しました。であれば、今後も、経済成長のためとか、企業のビジネスのためとか言わずに、まず一義的に国民のための改正であると訴えて欲しいと要請しておきました。

2.個人情報の定義について(第2条関係)

今回の改正で、保護されるべき個人情報の範囲は、拡大するのか縮小するのか、それとも変わらないのかを確認したかったのですが、具体的な規定については政令に委ねるということで、明確な答弁はありませんでした。

3.匿名加工情報について

今回、新たに「匿名加工情報」をこの改正案で規定することになった目的や個人情報との違い、定義、義務、基準等今回の法案の肝でもあるので、かなりの時間を割いていろいろと質問しました。

最も重要な点は、「個人情報」を匿名加工した場合、それが自動的に法律上定義された「匿名加工情報」になるのではないことを政府答弁で確認できたことだと思います。現在でも、自社内で個人情報を取り扱う場合、安全性の観点等から仮名化(匿名化)して使用するケースはあるわけです。そのような場合でも、今後は「匿名加工情報」となり、公表義務などが課されてしまうのかという懸念が強まっていたわけですね。今日の質疑で、事業者が「匿名加工情報」を作成することを意図せず、加工して利用する場合は、それはあくまで「個人情報」のままであり、「匿名加工情報」にはならないことが確認できたので、いかなる場合に「匿名加工情報」になるのか、公表義務が課されるのかが明らかになったことは収穫でした。

4.要配慮個人情報について

今回の改正では、個人情報の中でも特に配慮すべき個人情報を含んだものを「要配慮個人情報」と規定しています。これに関して、「要配慮個人情報」も適切に加工すれば「匿名加工情報」を作成できることを確認しました。また、加工の基準や方法について、一般的な個人情報と要配慮個人情報とでは違いがあるべきではないか、という点については、加工化によって要配慮情報も削除され、容易照合性が失われるはずなので、特に差を設ける必要はないと考える、とのことでした。この点は、個々の個人情報の特性に応じた加工化ルールを策定することが重要だ、ということですね。

5.利用目的の変更について(第15条関係)

最後に、個人情報の利用目的の変更について質問しました。今回の改正で、利用目的の変更がどのような範囲で可能化という点について、第15条第2項の規制を緩和したのですが、衆議院の審議で山口大臣は、この点について電力データの例をあげて、「電力会社が省エネを促すサービスのために集めた家庭の電力使用状況に関するデータが、例えば社内の研究開発や安否確認サービスにも使えるようになる」と答弁したのですが、本当にそこまでの拡大が可能なのか、それではあまりに利用目的の変更可能性が広がってしまうのではないか、と質しました。

山口大臣は、あらためて今回の改正の趣旨と、大臣自身の考えを繰り返し説明するに留まりました。私からは、電力データが安否確認にも使えるというのは、ユーザーの側から見れば勝手に家庭の状況を監視されるのではないかという懸念にも繋がるので、慎重に検討して整理して欲しいと要望しておきました。この点、個人情報保護についての信頼性を確保する上でも重要なところなので、今後もフォローしていきたいと思います。

 

以上、質疑の主なポイントでした。今日は他にも、EUとの関係や海外にある企業への個人情報の提供、個人情報保護委員会の体制等質問を準備していたのですが、またも時間が足りずに終わってしまいました。結局、政省令や個人情報保護委員会に委ねられた項目も多いので、今回の改正が国民生活の向上に資するものとなるよう、今後もしっかりこの問題をフォローしていきます。

電気通信事業法等の改正案が閣議決定され、国会に提出されました!

先週、4月3日(金)に、「電気通信事業法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出されました。

電気通信事業法等の一部を改正する法律案(総務省HP)・・・概要、要綱、新旧対照表など

 

この法案は、昨年12月まとめられ、総務大臣に提出された情報通信審議会の答申「2020年代に向けた情報通信政策の在り方〜世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展に向けて〜」の内容を踏まえ、我が国で世界最高水準のICT基盤そしてサービスを更に普及・発展させ、国民生活の向上を実現することを目指して電気通信事業法や電波法の改正を行うものです。

法案の主な内容は、以下の通りです。

1.光回線の卸売サービス等に関する制度整備

公正な競争環境の下で、異業種の新規参入など多様なサービス展開を実現することにより、光回線の利用率の向上を目指すために、主要事業者が提供する卸売りサービスについて事後届け出制を導入し、届け出内容を総務大臣が整理・公表する制度を整備する。

2.禁止行為規制の緩和

禁止行為規制を固定通信と移動体通信に区分けし、移動通信分野における禁止行為規制を緩和して、事前禁止(2号規制)の対象をグループ内の事業者への優遇に限定するとともに、様々な業種(自動車メーカー、警備会社、CATV等)との連携を可能にすることにより、M2M(機器間通信)やIOT(Internet of Things)といった多様な新サービスや新事業を創出することを可能にする。

3.携帯電話網の接続ルールの充実

MVNO(仮想移動体通信事業者)の迅速な事業展開を可能にし、移動通信市場の競争促進を図るため、二種指定事業者の携帯電話網の接続ルールについて、必要な部分だけを借りられる制度(アンバンドル化)や接続料の算定制度等を整備する。

4.書面の交付・初期契約解除制度の導入等利用者・受信者の保護

契約の締結後に、個別の契約内容を容易に確認できるよう電気通信事業者・有料放送事業者に対して光回線サービス、携帯電話、ケーブルテレビ等の主要なサービスについて、契約締結書面の交付を義務づける。さらに、利用者は契約締結書面受領後から8日間は、相手方の合意なく契約解除できる、いわゆるクーリングオフ制度をこの分野にも導入する。

 

法案の内容としては、ICT利活用の促進をめざすもので、私が従来から主張してきた項目が盛り込まれてはいるものの、踏み込み不足の点や、具体的内容が政省令に委ねられている点も多く、まだまだ制度の全体像、つまりこれでどのようにICTが発展し、国民生活が向上していくのかという最も重要な点が不明確です。これからの国会審議を通じて、できるだけ法案の具体像を明確にし、有効性を確保していかなければなりません。しっかり取り組んでいきますので、ご質問・ご意見等ありましたらぜひお寄せ下さい。

超党派「教育のICT化議連」第1回勉強会を開催!

 

3月25日(水)の午後、超党派議員で構成する「教育におけるICTの利活用促進をめざす議員連盟」の今年第1回目の勉強会を開催しました。既報の通り、昨年来、超党派議員による勉強会として活動していたものを、先月26日に衣替えして新たに立ち上げた議員連盟で、私が事務局長を務めさせていただいています。

 

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第1回勉強会は、「デジタル教科書の利活用促進に向けた課題」というテーマで議論を行い、多数の議員および有識者アドバイザーの皆さんのご出席をいただきました。

会合では、まず、教科書協会情報化専門委員長の黒川氏から「デジタル教科書の現状と課題」についてご提言いただきました。黒川氏は、教科書を制作している立場から、デジタル教科書の普及の状況や実際の活用シーンのご紹介、また著作権の問題や教科書に実際に採用されるためのスケジュールなどについて具体的にご説明をいただきました。

続いて慶應大学の菊池特任准教授から、「デジタル教科書に関する法制度」についてお話しをいただき、印刷された紙の教科書を前提び規定されている現行の学校教育法や著作権法などの法令についての解説や、デジタル教科書を正規の教科用図書とするための制度改正の具体的なご提案(デジタル教科書法案)などの解説を受けました。

そして最後に文部科学省の担当課より、「デジタル教科書の今後の展開」に関する現在の検討状況について報告を受けましたが、デジタル教科書を教科書にするためにはまだまだ様々な課題をクリアすることが必要で、来年度にこの問題に関する有識者会議を立ち上げ、議論を重ねた上で結論を出していきたいとの説明がありました。

 

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出席議員からは、デジタル教科書を導入した場合の想定されるコストや、紙の教科書検定制度との整合性、紙とデジタルの併用の可能性、障がいのある児童生徒へのデジタル教科書の重要性など、活発な質問や意見が出され、有識者アドバイザーを交えた議論も大いに盛り上がりました。

2020年にデジタル教科書の使用を制度化するには、次期学習指導要領の告示がされる2016年度末までにはデジタル教科書の導入が方針化される必要があります。議連としても、今後さらに議論を重ね、必要な法整備や財源についての提言を行っていきたいと思います。